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環境に応答して変色するハイドロゲルを開発——カメレオンの皮膚を模倣

中国科学院Ningbo Institute of Materials Technology and Engineering(NIMTE)の研究チームが、カメレオンの皮膚を模倣した化学物質や熱の刺激に応答し変色するハイドロゲル材料の開発に成功した。材料のコアシェル構造各層にはそれぞれ異なる蛍光源材料を含んでいるという。研究成果は、2021年5月6日付で『Cell Reports Physical Science』に掲載されている。

パンサーカメレオンというカメレオンは環境に応じて複雑に体色を変化させる。これは、皮膚に小さな結晶を含んだ細胞の層が2つあり、虹色素胞という細胞から成っているためだ。結晶が密に並んでいるときは緑色に見え、細胞間が引き伸ばされると黄色や赤などの色を示す。これは、パンサーカメレオンが進化によって獲得した特徴的な皮膚構造だという。

研究では、カメレオンの皮膚のような多層構造を持った蛍光源含有ハイドロゲルの合成を試みた。まず、赤の蛍光色素であるユーロピウムのさまざまな水溶液からコア層ハイドロゲルを合成。その後、アルギン酸ナトリウムと温度応答性の青、あるいはpH応答性の緑の蛍光高分子を含む溶液の中でコア層の周りに蛍光ゲルを成長させた。

コアハイドロゲル層から周囲の溶液へのユーロピウムイオンの自発的な拡散は、青あるいは緑のハイドロゲル層形成の引き金となった。拡散誘起による界面重合の合成法は一般的な手法であり、さまざまな環境応答変色ソフト材料の合成への展開も期待できる。

このコアシェル構造蛍光ハイドロゲルは、層状の構造によって温度やpHの変化に応じ、放射光が赤から青、緑色まで変化する。すなわち、ほぼ全ての可視光の色が表示可能であるという。

開発されたハイドロゲル材料は、海産物の鮮度を色変化で検知する化学センサーとしても有用性が確認された。海産物の腐敗により発生するアミンガスを検知し、ゲルが赤色から緑色に変化する。化学センサーの他にも、ストレッチャブルエレクトロニクス、カムフラージュロボットや偽造防止技術への展開が期待される。

「近い将来、我々は開発したハイドロゲルを用いてソフトカムフラージュスキンを作製する計画です。この研究は、ロボティクス分野が望む、カムフラージュ、表示および警告機能を獲得することに貢献します」とNIMTEのTao Chen教授は述べている。

fabcross for エンジニアより転載)

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