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オープンソースのdPCR「dNinja」で非伝染性疾患の早期診断を支援

鳥人間はオープンソースのdPCR(デジタルPCR)装置「dNinja」のクラウドファンディングを開始した。

鳥人間は10年以上にわたりオープンソースのPCR機器を開発してきた。2013年にサーマルサイクラー「NinjaPCR」をリリースした後、2016年と2017年には超高速PCR機器を開発。2020年には、第2世代としてqNinjaやqLAMP装置を開発した。今回クラウドファンディングで資金を募るdNinjaは第3世代にあたるdPCR。

dNinjaのクラウドファンディングプロジェクトはExperimentで、2023年6月30日から45日間実施。目標額は9985ドル(約144万円)だ。Experimentは、米国ニューヨークを拠点とし、科学者や技術者、デザイナーで構成するチームが運営する、科学技術系のクラウドファンディングプラットフォーム。

PCR検査は抗原検査や抗体検査よりも感度が高く、感染症が伝染する前に病気を検出できる点がメリットだ。qPCR/dPCR装置は特定のDNAのコピーを蛍光ラベルで作成し、光センサーを用いて陽性か陰性かを判定する。PCR検査では主にqPCR/dPCR装置が利用されているが、鳥人間はqPCRのオープンソース化に成功し、qNinjaとして提供している。

dPCRは溶液を数万個の独立したスペースに分割し、その後にqPCRを実施するため、DNAの変異に対してqPCRの1000倍の感度を持つ。こうした高い感度は非伝染性疾患のリキッドバイオプシー(液体生検)に有用で、例えば腫瘍から血液中に放出されるがん細胞のDNAなど、少量の血液で変異を測定できる。患者は外科手術を受けることなく、10~20mlの血液採取で経過観察が可能となる。

qPCRはほとんどの感染症を検出できるが、世界の死因の74%は非伝染性疾患によるものだ。非伝染性疾患のリキッドバイオプシーは上位7つの死因(心臓疾患、脳卒中、肺疾患、がん、アルツハイマー、糖尿病、腎臓疾患)をカバーし、こうした非伝染性疾患の検出のために、dPCRは有用に活用できる。

同社がゴールとして掲げるのが、ドキュメント化されたオープンソースなdPCR装置の開発だ。直感的に操作でき、低コストなdPCR装置を開発することで、非伝染性疾患の早期診断や治療への貢献を目指す。

同製品の開発プロセスではマイクロスコープやXYステージ、カスタムしたはんだ付け用ステンシルを組み合わせた後、学習済みの機械学習モデルとソフトウェアを使用してステンシル上の微小な穴を追跡し、穴の中のqPCR溶液の色を陽性/陰性でカウントする。

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