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目と鼻の位置で個体を特定——顔認証技術を使用したヒグマの生態監視プロジェクト

顔認証技術を活用したヒグマの生態監視プロジェクト「BearID」をRaspberry Pi公式ブログが紹介した。

BearIDは、顔認証技術と機械学習技術を用いて、その地域に生息するクマを識別監視する技術を開発し、野生のクマの保護を促進するプロジェクトだ。

BearID

プロジェクトは、2016年に、ヒグマが生息するエリアからのライブカメラ映像を2人の技術者が見ていて、写真や動画からヒグマの個体を自動的に識別するディープラーニングアプリを開発できないかと思いついたことから始まった。翌2017年にBearIDプロジェクトは正式に立ち上げられ、当初は、米アラスカ州カトマイ国立公園のブルックス川流域に生息するヒグマに焦点が当てられた。

ヒグマの顔認証機能には、両目と鼻の位置の3点を用いている。この3点は、1年を通して体重が変動したり毛が生え変わったりするヒグマの中で最も変化しにくいポイントであり、識別に必要なデータ処理量を節約できる点もメリットだ。

BearID

顔認証技術に用いられている機械学習アルゴリズムは、通常、画像のどこが目または鼻なのかを指定するラベリング作業を実施する必要がある。そのため、本来は何千枚もの画像に対して手作業でラベリングする必要があったが、犬の顔の識別に用いられている「Dlib」ライブラリーを流用することで、工数の削減につなげている。

150のデータセットの中には、カナダのブリティッシュコロンビア州ナイト・インレットに生息するヒグマの集団も含まれており、これらのデータは野生のヒグマの生息数特定やその増減、生息地や土地管理の問題のモニタリングに役立てられている。

BearID

BearIDはクラウドサービス上で動作しており、主にMicrosoft Azureを使用している。ほとんどの機械学習トレーニングは大規模なGPUベースのマシンで実行しているが、現場ではすべてARMシステムを使用している。

当初はノートパソコンやタブレットを使用していたが、現在は、Raspberry Pi 4 B対応バージョンを開発しており、現場で分析実行ができるよう、Raspberry Pi用アクセラレーターか、機械学習アクセラレーターを組み込んだARMベースのプラットフォームを検討中だという。

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