新しいものづくりがわかるメディア

RSS


海洋哺乳類の生態調査と保護を目的とした、自律航行型の水上ドローン

米Saildroneは2023年9月7日のブログで、人間の活動から海洋哺乳類を保護するための、水中音響システム「パッシブ音響アレイ」を発表した。海洋哺乳類を検出し、分類、および位置特定する上で、重要な音響技術の目標を達成したと説明している。

クリーンエネルギー需要の拡大に伴って、洋上風力発電所や洋上サイトの建設・運用が加速しているが、海洋生態系への影響が問題視されている。特に、多くの大型鯨類は音響に大きく依存しているため、水中騒音の影響を受けやすい。

クジラの鳴き声は周波数が低いために検出が難しく、周囲の人工音でかき消されてしまう。従来、この種の調査は生物学者が観測船上で実施することが多く、安全上のリスクもあった。さらに、船舶が発するノイズも、海洋哺乳類の検出を困難にしていた。

同社は、海洋環境をモニタリングする水上ドローン、「Saildrone uncrewed surface vehicles (USVs)」を製造してきた。今回、自社の水中音響技術、自動航行技術、機械学習技術を使用して海洋哺乳類を検出、分類、位置特定する監視ネットワークを構築した。

同社は、この水中音響システムを装備した2台のUSVsをマサチューセッツ州沖に配備し、タイセイヨウセミクジラをはじめとする海洋哺乳類の鳴き声の観測に成功した。このUSVsはほぼ無音で2週間航行し、多数の海洋哺乳類の鳴き声を記録して、その性能を証明した。

生物を傷つけることなく、かつ費用対効果の高い方法で情報を収集する同システムを搭載したSaildroneのUSVsは前例のない監視機能として、海洋哺乳類の研究と保護活動を促進する、と同社は説明している。

fabcross for エンジニアより転載)

関連情報

おすすめ記事

 

コメント

ニュース

編集部のおすすめ

連載・シリーズ

注目のキーワード

もっと見る