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14歳の少年が皮膚がん治療用の石鹸を開発———アメリカの学生向け科学コンテストで優勝

3M Young Scientist Challenge/YouTube

アメリカの小学校高学年~中学生を対象にした科学コンテスト「3M Young Scientist Challenge」の結果が、2023年10月11日に発表。優勝を勝ち取ったのは14歳のHeman Bekeleさんで、彼が開発したのは皮膚がん治療用の石鹸「Melanoma Treating Soap(MTS)」だ。

Bekeleさんが皮膚がん治療に興味を持つきっかけとなったのは、アメリカに移住する前の幼少期を過ごしたエチオピアで、路上で強い日差しにさらされながら物乞いする人々を目の当たりにした経験だという。彼は皮膚がん治療の大きな障壁として高額な治療費があり、それゆえにアフリカなど発展途上国で受けられる医療が不足していると指摘する。具体的には、皮膚がん治療にかかる医療費は平均で合計4万ドル(約588万円)。皮膚がんの治癒率はアメリカでは98%であるのに対し、サブサハラ・アフリカ地域ではわずか20%なのだという。

こうした事実に衝撃を受けた彼は、経済環境に関係なく世界中の誰にでも手が届く、安価な治療法として「MTS」の開発を決意した。開発にあたっては、がんの病変などの鑑別に用いられるコンピューター診断支援ソフトウェア「CADx」などを活用。有効成分としては主にウイルス活性や抗腫瘍効果を持つ化合物「イミダゾキノリン」を配合している。

今回のコンテストの優勝賞金として、Bekeleさんには2万5千ドル(約370万円)が贈られた。今後5年間で、彼はMTSの改良を重ねつつ、低コストの治療法を必要としている人々にMTSを配布するため非営利組織の設立を目指すとしている。

fabcross for エンジニアより転載)

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