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Julie Wataiがアイドル握手会専用手袋をプロデュース

握手会の神デバイス!? になるかもしれない、アイドルを守る手袋を作ってみた

「かわいい」を支えるマイコンボード

見事に握手会時の演出と防犯の機能を果たしてくれた、Julie Wataiさんプロデュースのアイドル握手会専用手袋。握手によってセンシングされた電圧の変化を、光と音でアウトプットして見せた。見た目のかわいさの裏側にどんなメカニズムが組みこまれているのか? その仕組みや、回路を手袋に実装する際の工夫を探ってみた。

一般にこの手のメカニズムは、電源、センサ、主力出力機器(この場合はLEDとブザー)で構成され、電気信号はマイコンボードで制御する。センサからの指令を受け、あらかじめプログラミングされた流れに沿ってマイコンボードが指令を出し、出力機器が作動する。いわゆる、フィジカルコンピューティングの基本だ。

ポイントは心臓部となるマイコンボード。Arduino仕様の手芸用ボードLilyPadを使った。
LilyPad Arduinoはウェアラブル用に特化したマイコンボードで、衣服などに縫い付けて使うことが前提。直径50mm、厚さ0.8mmの円形の基板の周囲に、導電糸などを結び付けるための端子が配置されている。今回はシンプルに仕上げるため、小型のものを使用。デジタル入出力端子が5つ、アナログ入力端子が4つある。Arduinoなのでプログラミングも含めて極めて扱いやすい基板だが、ピンの数に制限があるので、割り振りなど、配線は考慮されている。

導電糸は細身のものを使った。通常の服飾用の糸より硬めの質感だが、縫製時は問題がない。LilyPad Arduinoやその他の部品への結線の際は、端子に強めに結んでいる。ただ、結線部分が多くなると、動作が安定しない傾向が出てくる。 

導電糸が結線されたLilyPad Arduino。花型の基板がおしゃれで手芸向きだ。 導電糸が結線されたLilyPad Arduino。花型の基板がおしゃれで手芸向きだ。

センサーユニットの工夫

握手をする際にファンと触れ合うセンサユニットの構造は、いたってシンプル。握手をすることで離れた2本の導電糸が、人の手を介してつながる。各導電糸の先は、抵抗を載せたLilyPad Arduino用のユニバーサル基板につながっている。導電糸がつながる先は出力部と入力部に分かれ、出力部からは交流信号が出ており、これが間をつなぐ手の状態で変わってくる。握る時間が長かったり、握り方が強かったりすると、入力部により多くの電流が流れる。これを整流して直流電圧に変換し、LilyPad Arduinoに読み込ませている。

読み込んだレベルによって、表示されるLEDの数が変わる。LEDは全部で5個。当初はもっと多くの数を考えていたが、回路設計が複雑になりすぎるため、この数に落ち着いた。さらに5個のLED全てが点灯すればブザーユニットが作動し、音が鳴るようにプログラミングされている。

電力は単4電池1本。電源ユニットに装着され、microUSBケーブルでマイコンボードへとつながっている。
回路の設計者は、どんなところに苦労したのだろうか?

実装前の配線図。実線部分が電動糸になる。 実装前の配線図。実線部分が電動糸になる。

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