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ネコ型キーボードを近未来な道具で作る

コロナ禍でZoom会議が増えました。画面越しに他家の猫さんを目にすることもあり、猫さんが見えるたびに「かわいい~~」とうなっています。

会議のみならずTwitterでも、デスクに寝っ転がり仕事の邪魔をする猫さんを頻繁に見かけるようになりました。正直うらやましい。私もリモートワーク中に猫を愛でたい! キーボードに寝ころんだ猫に邪魔されたい! でも猫は飼えない! ということで、代わりにデスクに陣取る「ネコ型キーボード」を作りたいと思います。

裏の制作モチベーションとして最近購入した機械が未来っぽくてかっこいいので使いたいというのもあります。

ネコ型キーボード=猫型のキーボードケース

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作るのは猫の形のキーボードケースと魚型のパームレスト(手を置く台)。キーボード本体はカスタムキーボード用の市販の基板等を利用し、木材を削ってケースを作ることにします。

未来な機械! ARを利用した手持ちCNCを使う

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作り始める前に、切削に使う機械shaper originの紹介を!(ステマではなく私が個人的に購入して気に入ったので勝手に広報です)。

基本的にはCNCですが、本体を動かせるのが特徴です。材料にARマーカー付きのテープを貼って認識させます。加工データを読み込むとディスプレイにカット線が表示されます。線に沿って手で本体を動かすと機械が自動で補正してくれるため、データ通りに加工ができます。レーザー加工機よりも厚い材料や大きな材料を扱うことができ、shopbotのような大型のCNCより本体が小さいという利点があります。日本国内ではまだ発売されておらず、アメリカから取り寄せました。注意点として、無線通信機能のある機器を日本国内で使用する場合に必要な技術適合証明(技適)は取得されておらず、今回の制作にあたって特例制度の届け出をして使用しています。ちなみにUSBメモリを利用すれば通信なしでも利用できます。

魚型パームレストを作る

まずは機械の練習もかねてパームレストを作ります。

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板材を強力両面テープで捨て板に貼り付け、付属のマーカーテープを貼ります。7センチほどの間隔で平行に貼っていきます。画像の状態では足りなかったので貼り足しました。このマーカーによって、仮想的な作業空間と物理的な作業空間を結びつけます。これによって本体の位置を精度高く把握できるためデータとのズレなくカットできる仕組みです。また、使ってみてとてもよかったのが、作業を途中でやめて再開する時です。機械を一度片付けて次の日に作業再開するときに、位置を合わせ直す必要なくマーカーを読むだけですぐに続きからできるのはとても便利でした。

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shaper originはこんな形。正面のディスプレイを見ながら、左右に突き出たハンドルをもって動かします。

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ストッパーを緩めるとルーター部分が取り外せます。

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ビットを取り付けます。これが高速で回転して木を削ってくれます。太めのドリルと細めのドリル、Vビット(画像のもの)の3本です。加工の細かさによって使い分けます。

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ルーター部分を戻し、本体電源を入れたらマーカーテープを認識させます。マーカーを本体カメラに映すと認識され、ディスプレイに映ります。本体を動かして全てのマーカーを認識させます。

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データを読み込みます。USBメモリを使う方法と、クラウド上にアップロードしたファイルを読み込む方法とがあります。画面を見ながら本体を動かし、カットしたい位置に配置します。

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切削の深さや使用するビットの種類等を入力し、板材との距離を計測すれば準備完了です。ルーターの電源を入れ、カット位置に本体を動かすと点線が表示されます。CUTボタン(写真の緑色のボタン)を押し、点線をなぞるように本体を動かします。

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切削が終わったら捨て板から剥がします。きれいに切れていますね。今回の板の厚さは約2㎝でした。バリをとってやすり掛けをし、裏側にゴム足を貼れば完了です。

ガリガリ削ってキーボードケースを作る

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満を持してキーボードケース本体を作ります。始めにキーボードを収めるエリア全体を太めのビットで切削します。まず一度全体を掘り下げ、その後ねじをとめる山以外の部分を削ります。一面削るのはなかなか大変でした。途中切りくずが邪魔をしてマーカーの認識がされず、少し1段目の切削と2回目の切削にずれがでたり、ゆがんだりしてしまっています。

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ビットを細めのものに変えて外形線を削ります。板材の厚さは2cm。負担を軽減するため削る深さを2段階に分け、2周して切断しました。

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捨て板から取り外せば、猫誕生!

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バリを取り、ヤスリで表面を軽く整えます。木材用のオイルを塗って仕上げます。塗ってふき取り、乾かしてまた塗り、やすりをかけて乾かします。

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実はこの後にねじ穴部分を割ってしまいました。インサートナットを仕込もうとしてドリルで穴を開けたらパキッと。もう少し硬い木を使うか、切削する前にインサートナットを仕込めばよかったです。今回はあきらめて木ねじで直接基板を止めることにします。

キーボードの組み立て

いよいよ組み立てです。部品・材料は、

  1. ケース
  2. スタビライザー
  3. キースイッチ
  4. キーキャップ
  5. フォーム
  6. 基板(DZ60+Mill-Maxソケット)
  7. プレート
  8. USB Type-Cケーブル

それとM2の木ねじです。

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スタビライザーは長いキーキャップをまっすぐに押し込むための部品です。基板にパチっとはめ込みます。

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プレートを乗せてスイッチをはめ込みます。このDZ60という基板は本来はんだ付けが必要です。が、Mill-Maxソケットというスイッチを取り外し可能にするための部品をあらかじめつけておいたため、今回ははんだ付けなしで差し込むだけです。

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ケースにフォームを敷きます。

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先ほどのスイッチを差し込んだ基板を入れます。

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基板の穴にねじ止めをし、キーキャップをはめれば完成です。

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仕上げに猫の手のひらのキーキャップを付けました。ピンク色の部分がプニプニした感触で気持ちいいです。

猫型キーボードで癒されデスク

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猫キーボードを早速デスクへ。大きくて無駄に机の場所をとる以外は良いですね。柔らかい打鍵感で普通にキーボードとしてなかなか良い使用感です。

また、Zoom会議で他家の猫さんを見た時に「自分にも猫さんがいるしな」と余裕をもって接することができますし、イラッとするような出来事があっても肉球キーキャップをプニプニすればイライラが飛んでいきます。猫が飼えないおうちはネコ型キーボードを一匹どうでしょうか?

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