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アーティストJohn Hathwayインタビュー

メーカーには絶対作れないワガママなプロダクトをつくる!

前編では『真空管ヘッドフォン』の制作秘話についてたっぷり語ってもらった。後編ではパーソナル・ファブリケーションでしかできないオリジナルプロダクトをつくる面白さや、つくったものを商品として流通させることにかける彼の思いを中心にまとめた。John Hathway のようなクリエイティブ・ファンタジスタの、ものづくりに対する真摯な姿勢を知ることで、自らの「こだわり」を貫くことこそがパーソナル・ファブリケーションの価値を高めるんだ、ということを知ろう。(撮影:加藤甫)

前編はこちらから

Ⅳ.メーカーにはできないワガママでピーキーな仕様は、個人で作るプロダクトの強み!

量子力学を学んでいた大学院時代の研究室を再現したというJH科学の「ミニ工作室」。

ーーー真空管ヘッドフォンを作るうえで、妥協は一切しなかったということですね。

「いや、それでも、どうしても妥協しなければならなかったことが一点だけありました。このヘッドフォンの回路は、音が良くなるということに重きを置いていて……って言うか、ぶっちゃけもうそれしか考えてない回路なんですよ(笑)。だから近くの機械のノイズを拾ってしまうことがあるんですよね。例えば、コードレスインターホンの電波とか拾って、ジジジっと鳴っちゃいます。

なんとかしようと音響エンジニアと頑張ったんですが……この問題を改善しようとすると、引き換えにどうしても音が悪くならざるを得なかったんです。でも……良い音を手に入れるために28万円も出す人なら……ノイズの原因を消すくらいの手間をかけてでも音質優先なんじゃないかと。インターホンを消して音楽に集中するという価値観です。

やっぱり、こういうワガママでピーキーな仕様は、個人で作るプロダクトだから実現できること。それが1番、自分でものを作ることの良い所だと思います。メーカーだと音質もノイズも両方を何とかしろとなって、結果的に中途半端なプロダクトに落ち着いてしまうことも場合によってはあるかもしれません。そもそもこんな真空管が飛び出たデザイン、割れたら危ないとか言ってメーカーじゃ実現が極めて困難です。

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