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神戸大学大学院 塚本昌彦インタビュー

雌伏14年の伝導師が語る、ついに来たウェアラブル時代

継続が鍵 Googleに見る戦略

「ウェアラブルは簡単ではない、正しい戦略が必要」と語る塚本教授。 「ウェアラブルは簡単ではない、正しい戦略が必要」と語る塚本教授。

「継続が一番大切です。人が身につけるものですから、ハードウェアやソフトウェアだけでなく、医療面、社会面といったことも問題になります。やってみなくては分からない、乗り越えなければならないハードルがたくさんある。まずは一度製品を出してみて、その結果をフィードバックして、改良してさらに新製品を作るというサイクルが必要です。ビジネスとしては、常に投資した額を最低限回収できるように考えておかねばなりません。その意味ではGoogleのやり方は参考になります」

2015年1月、そのGoogleはGoogle Glassの一般販売を中止した。しかし、教授によればそれは戦略の一環だという。

「Google GlassはそれまでのHMDを凌駕する画期的な商品でした。小型で高性能、いままで使えなかったアプリも使え、Googleが持つクラウド上のプラットフォームも利用できる。ただ問題のすべてが解決できたわけではない」 

Google Glassの販売中止について「私はポジティブに捉えています」。 Google Glassの販売中止について「私はポジティブに捉えています」。

ウェアラブルの「壁」

カメラ、バッテリ、ファッション性。ウェアラブルデバイスにとって特に厚い3つの壁だと教授は語る。

「Google Glassが発表されたときからカメラはやり過ぎだと思っていました。魅力的な機能ですが、撮られる側のプライバシー問題は大きい。ただGoogleも、カメラについては予想以上に反感を持たれることが分かった。次回作に生かすと思います」

フルに使えば2時間しか持たないバッテリ、いまひとつパッとしないデザインもそうだ。 

インタビュー時、塚本教授が装着していたHMD。ケーブルの先は外部バッテリにつながっている。バッテリはウェアラブルデバイス全体の課題のひとつだ。 インタビュー時、塚本教授が装着していたHMD。ケーブルの先は外部バッテリにつながっている。バッテリはウェアラブルデバイス全体の課題のひとつだ。

「常時装着を考えると、現在のバッテリでは1日持たない。消費電力が大きいからです。マイクロプロセッサなどはスマートフォン用のものが使われ、HMDに特化した設計にはなっていません。デバイスに合ったスペックのプロセッサを開発すれば、消費電力はかなり減らせるでしょう。デザインも課題です。ファッション性を考慮すれば、形や色のバリエーションがまだまだ少ない。その点、Apple Watchはかなりのバリエーションがあります。ただGoogleも、iPodの開発の中心人物でスティーブ・ジョブズの相談役でもあった人を陣営に加えました。Google GlassにApple的なファッション性を取り入れてくるはずです」

ウェアラブルの世界で成功する定石を、Googleはしっかり踏んで来たと教授は見る。 

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