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神戸大学大学院 塚本昌彦インタビュー

雌伏14年の伝導師が語る、ついに来たウェアラブル時代

専用デバイスに勝機がある

「Google GlassやApple Watchは汎用品。それとは別に用途に特化した専用品の世界もあります。例えば家事。掃除や洗濯、料理に特化したウェアラブルデバイス。ハンドフリーの特徴を生かせば、家事をこなしながら必要な情報が得られる。スポーツもそう。競技によってデバイスは異なるはずです。2020年には東京オリンピックでかなり盛り上がるはずですからチャンスはあります。

また既存のHMDやウォッチを使いやすくする、あるいはデコるといった中から生まれる商品もある。グラスがカッコ悪ければフレームは自分で作ればいい。自分の個人的な必要性で作ったものが話題になって商品化される世界です。目の付け所さえ良ければ、小規模でも十分戦っていけます。ウェアラブルはやりがいのあるアプリケーションだと思いますね」 

撮影時、塚本教授が身につけていたウェアラブルウォッチは6台。デザインや機能はさまざまだが、決定的な商品はまだないという。 撮影時、塚本教授が身につけていたウェアラブルウォッチは6台。デザインや機能はさまざまだが、決定的な商品はまだないという。

ただウェアラブルには熱や破損による危険性、目や肌に対する健康面の問題など複合的な要素が多いので、その点では注意を要するという。どう解決すればよいのか?

要素が多いからパートナーが大事

「問題解決のポイントとしては、開発パートナー選びですね。1つのデバイスを作ったら、すべてを自分でやるのではなく、コンテンツはどこ、システムはどこ、といったコラボレーションを考えた方がいい。そういった連携の中で気づかなかった問題が発見でき、解決の糸口が見えてきます。私は10年前から『ウェアラブルコンピュータ研究開発機構』というNPOを立ち上げ、作る側の研究者や開発者同士の連携をはかってきました。最近では『日本ウェアラブルデバイスユーザー会』という団体を立ち上げ、ユーザー側からの情報交換も行っています。そういった場に参加し、パートナーを見つけていくのもひとつの方法ですね」

HMDに専用ウォッチとウェアラブルのフル装備。衣服のように情報を身にまとっている感じだ。 HMDに専用ウォッチとウェアラブルのフル装備。衣服のように情報を身にまとっている感じだ。

難しいからこそみんなで推進していく必要がある、と教授は語る。多様な人々と交流することで新しいデバイスが生まれ、ウェアラブルの全盛期がやってくる。

「ハッカソンで関係者を集め、集中的に開発するやり方も複合的な要素が絡むウェアラブルに合っていますね。『Moffband』などはハッカソンから生まれたウェアラブルデバイスの典型です」

今後の注目は、Apple Watch、3Dの仮想オブジェクトが重ねて表示できるMicrosoftのHoloLensでしょうね。そして、Google Glassのニューバージョン。必ず出てくると思います。Googleが販売中止でこのまま撤退とは到底思えない」

熱く語る教授のHMDには、近い将来のウェアラブル世界がディスプレイされているはずだ。 

インタビューに力強く答える塚本教授。ウェアラブルにかける大きな期待は昔も今も変わらない。 インタビューに力強く答える塚本教授。ウェアラブルにかける大きな期待は昔も今も変わらない。

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