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ユニバーサル・サウンドデザイン 中石真一路氏インタビュー

健聴者が難聴者に歩み寄るスピーカー“comuoon”を生み出した本物を極めるものづくり

本物を作り上げるためのチーム作りとは

中石氏が目指すのは「ものづくり」ではなく、「本物作り」である。そのためには、本物を作ることができる職人を集めたチーム作りが何より重要だと考える。comuoonは、聴き取りやすい音を作る筐体の構造を考える人、忠実に音を再生するための回路設計を行う人、難聴者に圧迫感を与えない親しみやすいフォルムを考えるデザイナーなど、それぞれの分野で本物作りができる職人の力で作られている。

「単なるものづくりであれば、エンジニアとデザイナーさえ集めれば完成させることはできます。しかし、その人達がものづくりに魂を込めることができなければ、本物を完成することはできないのです。そして、本物を作るチームのリーダーに必要なことは、自らがそれぞれの分野についてしっかりと勉強することです」

自分が勉強しておけば、プロジェクトが進むにつれてより具体的に「このような方法で課題を解決して欲しい」などと指示を出すことができる。そこからがエンジニアやデザイナーとの勝負だ。リーダーがそこまで勉強しているということを知ると職人魂に火がつき、求められた以上の結果が出せるように情熱を持って取り組んでくれるようになるという。

「人生をかけるつもりで本気でものづくりに取り組めばパートナー選びも慎重になり、本物作りができるエンジニアかどうかを見抜けるようになります。そして、お金儲けだけが目的ではない、プロダクトがもつ社会貢献性に理解を示し、真剣に協力をしていただく投資家からお声がけをいただくことにつながりました」

カフェなどでBGMを流すのは、音楽で他人の声を遮断するためだ。そのBGMをできるだけ心地良い音で耳に届け、より周囲を気にせずに集中できるようにと開発された、店舗向けとなるcomuoonのユニット型スピーカー(オーダーメイド)。木製の筐体はチェロの職人が作ったという。まさに職人による本物のものづくりの技が生かされている。 カフェなどでBGMを流すのは、音楽で他人の声を遮断するためだ。そのBGMをできるだけ心地良い音で耳に届け、より周囲を気にせずに集中できるようにと開発された、店舗向けとなるcomuoonのユニット型スピーカー(オーダーメイド)。木製の筐体はチェロの職人が作ったという。まさに職人による本物のものづくりの技が生かされている。

難聴者の聴き取りが改善するスピーカーということで、現時点でさまざまな企業から開発に関する相談が舞い込んでくるようになった。難聴者が聴き取りやすい音というのは、健聴者にとっても当然聴き取りやすい。「今後はものづくりを通じ、誰もが聴き取りやすい環境が当たり前になる世の中を作っていきたいと考えています」と語る中石氏。

2016年4月には「障害者差別解消法」が施行されるが、すでにcomuoonは千葉興業銀行や京都銀行の全店の窓口への導入が進んでいる。近い将来、病院や公共機関の窓口、駅などさまざまな場所にcomuoonが置かれ、騒音の中でも誰もが聴き取りやすい音声によって難聴者とのコミュニケーションを行う、身近な存在になっているかもしれない。 

開発中の新製品は、従来よりも小型になりバッテリーで動く。タクシーのダッシュボードに置き、後部の乗客からの声が前を向いた運転手に届きやすいようにするなど、難聴者向け以外の用途の製品についてもいろいろと研究を重ねている。 開発中の新製品は、従来よりも小型になりバッテリーで動く。タクシーのダッシュボードに置き、後部の乗客からの声が前を向いた運転手に届きやすいようにするなど、難聴者向け以外の用途の製品についてもいろいろと研究を重ねている。

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