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XYZプリンティングの3Dプリンター戦略を聞く——今後はフルカラーがメインに

3Dプリンターのブームは終わってはいない

——日本国内では3Dプリンターのブームは収束しつつあるともいえますが、このタイミングでダヴィンチ Colorを投入する狙いについて聞かせてください。

シェン:3Dプリンターの話題性についてですが、私は2018年に新しいピークを迎えると思っています。ここ3~5年に技術のブレークスルーがいくつかありました。まず1つはカラープリンター、2つ目が金属素材による造形で、3つ目が造形スピードの向上です。こうした技術を組み合わせることで、新しいニーズが生まれると考えています。

いまではマーケットや技術、会社などいろいろなものが統合されています。2017年上半期に登場したモデルも、もしかしたら2018年には販売終了になっているかもしれません。例えば、このダヴィンチ Colorの価格が1000ドルを切ったら、もう単色のプリンターを買う人はいないでしょう。今後金属素材で造形できるものを開発していますし、対応する素材も増やそうとしています。

来年にはSLS(選択式レーザー焼結)方式など法人向けのモデルを発表したいと思っています。歯科医やジュエリーメーカーなど、基本的には専門家のニーズに応えるためのものになります。

2018年も積極的に新製品を発表すると語るサイモン・シェン氏 2018年も積極的に新製品を発表すると語るサイモン・シェン氏

3Dプリンターにもフルカラーという表現力が求められている

——SLS方式の新型を開発中とのことですが、それもカラー化を意識して開発しているのでしょうか?

シェン:基本的にフルカラーで出せる技術があれば、と思っていますが、すべての方式でフルカラー化を実現するのは簡単なことではありません。ですが、ニーズがあるのも事実です。例えば歯科医向けの例ですが、歯というのは上と下で微妙に色が違うのです。現状のSLAでは1色しか使えないので、こうした表現力を上げるためにはカラー化が必要だと思っています。

2次元の紙に印刷するなら白黒でも構いませんが、3Dプリントを私たちの生活に応用すると考えると、フルカラーが必要になると思っています。現在の産業用モデルはコスト面で単色が主流ですが、今後安くフルカラーで印刷できるようになれば、切り替わっていくと思います。

従来の製造技術でフルカラーのプラスチック製品を作るためには、例えばインモールドデコレーション(編集部注:射出成形製品に印刷する技術の1つ)のように印刷済みの薄いフィルムを成型時に溶着させるか、UVインクでの印刷を使うことになります。3Dプリンターを使うことで金型が不要になり、コストが下げられます。ここではプリント速度の改善が課題だと考えています。

食材を扱うフードプリンターの難しさ

——マーケットのニーズを捉え、臨機応変に対応されていると感じます。2015年のノーベル1.0発表会では今後の主力のひとつに「フードプリンター」がありましたが、日本では発表されませんでした。その理由と今後の計画について教えてください。

シェン:フードプリンターは、欧州とアジアを中心に、グローバルで500台ほど販売しました。初めてのフードプリンターでしたが、最大の課題は食材でした。各国でローカルに調達する必要があり、3Dプリンターだけでは売れません。特に日本では食材の輸入について厳しく、多くの制限があります。次世代のフードプリンターについては、各国の食品規制や食文化を含め、こうした課題をどのように解決するのかを考える必要があります。

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