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XYZプリンティングの3Dプリンター戦略を聞く——今後はフルカラーがメインに

今後もターゲットはコンシューマーとプロシューマー

——初代のダヴィンチシリーズは低価格で多く売るという、コンシューマー市場狙いでした。第二世代では精度も上がりましたが、プロシューマー向けの価格帯になってきています。ダヴィンチ Colorも、個人が家庭で使うにはやや大型で高価ですが、今後はプロシューマー向けに力点を置くのでしょうか?

シェン:ダヴィンチ Colorは、法人やプロが使うマシンになると思います。グローバルで800台ほどの予約があり、エンドユーザーには11月ごろにお届けする予定です。FFF方式はSLA方式など比較してプリント後の後処理が不要で、事務所や家庭でも導入しやすいというメリットがあります。今後、ダヴィンチ ColorをベースにB2B向けの上位機種と、コンシューマー向けにはもっと安くて小さい機種も出す予定です。「一家に1台3Dプリンターを」というコンセプトは変わっていません。

——具体的にどのような職種のユーザーが買っているのでしょうか?

シェン:例えばアニメーション制作など、これまで造形後に色を付けるという2次加工が必要な領域や、インテリアデザイナー、建築関係などのようです。こうしたプロシューマーに加え、学校関係からも直接問い合わせが来ています。

弊社では教育向けもB2B市場として考えており、学校用のカリキュラムや教材を作っていて、教育者がそれを使って授業ができるような準備をしています。

グループのもつ総合力を商品化につなぐ

——今後の3Dプリンターは、クラウドサービスとの連携や、機械学習を使ったデータ評価などといった応用が考えられると思います。御社ではデータ共有サービスなども運営されていますが、今後Webとの連動など、ハード以外の部分をどのように拡充していくのでしょうか?

シェン:それは正しい方向性ですね。(質問したインタビュアーに向かって)うちでプロジェクトマネージャーをやりませんか?(笑)

3Dプリンター事業は新金宝グループのごく一部に過ぎず、グループ内の多くの会社や事業部が様々な技術を持っています。今後それを融合させていきたいと思っています。2018年や2019年に、さらに多くの分野での発展を目指しています。

独自の技術でフルカラー化を実現したというダヴィンチ Colorと造形サンプルを手にするシェン氏 独自の技術でフルカラー化を実現したというダヴィンチ Colorと造形サンプルを手にするシェン氏

——高価格帯のB2B向けプリンターというと、既存の大手3Dプリンターメーカーだけでなく、HPやポラロイドなど新規参入するメーカーとの競争にあると思いますが?

シェン:ポイントは造形技術の違いです。普通のプリンターのようにレーザーやインクの技術だけを使うという単純なものではなく、多くの技術を融合させる必要があります。3Dプリンターの造形方式は十数種類ありますが、10年後にはどれが残っているのか分かりません。日々技術は進歩しているのです。

3Dプリンターは、AIやロボット、インダストリー4.0など新世代技術のひとつであって、単独の技術として見るべきではありません。これからの3Dプリンターは性能向上を図るとともに、他の新世代の技術とも連携していくと思っています。

「2030年の夢」に向けて

——前回のインタビューでは「2030年に会いましょう」という言葉が印象的でした。ものを買う時代から自分で作る時代になるというビジョンですが、実現に向けて近づきつつあると感じます。

シェン:2030年は、人類にとって重要な年になるだろうと思っています。例えばAIが今から13年でどう進歩するのか、ロボット技術がどこにたどり着くのか、それによって人々の生活形態がどう変わるのか。基本的には今見えている技術をベースに発展していくわけです。

3Dプリンターを使い、フルカラーによる造形が実現できることで、金型を作って塗装して大量生産するという従来型の製造業は、今後5~10年で存続できなくなるかもしれません。3Dプリンターはカスタマイズができますから、コンビニに並べてある商品も、その場で自在に出力できるようになると思います。私たちがコントロールできる範囲で、2030年の夢を実現していきたいと思っています。

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