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Boschら、3Dプリントによりファインセラミックス製マイクロリアクターを開発

ドイツの多国籍企業Boschが、カールスルーエ工科大学と化学産業大手BASFと共同で、3Dプリントによってファインセラミックス製マイクロリアクターを製造することに成功した。マイクロリアクターは、化学研究で使われる、少量の原料で効率よく反応させることのできる微小化学反応器だ。耐熱性や耐食性、そして複雑な内部構造が必要とされるマイクロリアクターを、3Dプリント技術を使うことで、初めてファインセラミックス製のものを実現した。

マイクロリアクターは、大学や企業の研究機関などで、新薬など新しい化学製品や新しい化学合成反応の基礎研究に用いられる小型化学反応器だ。ミリメートル単位以下の空間における微細流路を流れる流体間で、混合、加熱、冷却、分離が行われて化学反応が進行する。大きなスケールで反応を行う従来バッチ式の装置と比較して、少量の原料で効率よく反応できるため、エネルギー効率がよく安全性が高いというメリットがある。しかし、マイクロスケールの反応流路を形成するために、複雑な内部構造を必要とし、かつ熱や安定性、腐食の観点で極限的な条件に耐える必要がある。

Boschの社内スタートアップAdvanced Ceramicsは、ファインセラミックスに関する高い専門性があり、多くの産業分野向けに機能性の高い製品を開発している。これまでファインセラミックスがマイクロリアクターに最適な材料であることはわかっていたが、「課題は、ファインセラミックスリアクター内部の複雑な構造を実現する製造手法を見出すことだった」と研究チームは説明する。

この課題を解決するために、同社のもう1つの強みである3Dプリンティングを活用することにチャレンジし、「3Dプリンティングを活用することによって、通常の手法では製造できないファインセラミックス製マイクロリアクターを初めて製造することに成功した」と報告している。

理想的な温度条件において化学反応させるとともに、その過程を詳細にモニターでき、大きなリアクターと比べて非常に少ない原料とエネルギーで高精度の化学反応を実現できる。BASFではこれを基礎研究に用いており、小規模実験の結果を解析して大規模な実施に向けて外挿することができる有効な技術である、と期待している。

fabcross for エンジニアより転載)

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