Q. 今の会社を退職して、メイカーズを目指そうと考えています。在職中にどんなことをしておけばいいでしょうか。

A.「メイカーズになりたい」と思っても、すぐに退職してはいけません。在職中に次の2点を準備しておくようにしましょう。
 

メイカーズとしての活動を始めても、ほとんどの場合、しばらく利益は出ないでしょう。在職中に少なくとも、製品の試作・量産に使う運転資金として1000万円、それとは別に、自分が生活していくのに必要な資金を2年分は貯めておいてください。

所属している企業が早期退職を募集しているのなら、思い切って応募してみるのも悪くありません。まとまった資金を得られますし、会社都合退職の場合には、あなたの年齢と被保険者であった期間によって変動しますが、退職後、最大で約1年間、失業手当を受け取ることができます。その期間中にメイカーズとして必要な知識を学び、準備を進めておくのも手です。

ただし、早期退職で会社からもらえるお金は、翌年、かなりの部分を税金として納めないといけません。何も考えずに使ってしまうと大変なことになりますから、計画的に使うようにしてください。

メイカーズを目指す人に向けて最初に資金の話をしたのは、独立後にやりたいことをやってもらうためです。資金が減ってきたり無くなったりすると、生活費のために嫌な仕事でも請け負わないといけなくなってきます。やりたいことをやるために独立するわけですから、そんな事態に陥らないように、しっかり貯金しておくようにしましょう。

可能なら、副業としてメイカーズとしての活動を始めるべきです。通常の時間は会社でまじめに働き、残りの時間を使ってメイカーズとして活動する。それが最もリスクが少ない、お勧めの始め方です。

もうひとつ、在職中に心掛けておいてほしいのは、ネットワークを広げておくことです。

とは言っても、現職で取引先の人と仲良くなることがネットワークの拡大につながるとは限りません。取引先はあなたのことを「○○社の」○○さんとして見ています。あなたの名前よりも、○○社という肩書きの方が大事です。会社の名前に頼らず、週末に開かれているメイカーズや起業家向けのイベントなどに顔を出すことで、あなた個人の人脈を広げていく方がよいでしょう。

人脈を広げるためには、ただイベントに参加するだけではなく、「自分はメイカーズになって、どんなことを成し遂げたいのか」という自らの志について考えてみてください。志がなければ、「助けてあげたい」と思ってもらえません。

志さえ持って、うまく相手にプレゼンテーションするやり方を身に付けていれば、会社の名前にかかわらず、あなた個人を支援してくれる人がきっと現れますから。