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イベントレポート

大雨の中でも自律走行可能!! 実環境下のロボットの可能性を証明した「つくばチャレンジ2015」

人びとが実際に生活する環境において、人とロボットが共存する社会のための技術を探る公開実験「つくばチャレンジ2015」(主催:つくばチャレンジ実行委員会、つくば市)が、11月8日に茨城県つくば市で開催された。参加したロボットたちは、実験室の中ではなく、市民が日常的に利用しているつくば市内の公園や遊歩道などで、自分で環境を認識しつつ行動を決めて走行する。当日はあいにくの大雨となってしまい、スタート前に棄権したり途中で動かなくなるロボットも多く見られたが、実環境の中で自律的にロボットを動かす難しさを知る貴重な機会となり、いろいろと参考になるデータが収集できたようだ。

課題は全長1580mコースの中での人探しと横断歩道の走行

つくばチャレンジ実行委員会は、「人々が暮らしている現実の世界でキチンと働くロボット」を実現するための技術開発を目的としたロボット研究者たちによって構成されている。つくばチャレンジは2007年に始まり今回で9回目、これまでに大学の研究室や国立研究所、企業などから、延べ500近いチームが参加して走行実験を行っている。2007~2012年に行われた第1ステージでは、つくば市内の遊歩道や公園、広場に設定された1km+αのコースを自律走行させる実験が行われた。2013年からは第2ステージとして、1km+αのコースの中でロボットが自律的に走行し、指定された区域の中で指定された人や物を探し出すという実験が行われている。

ロボットに自律走行させるコースは実験用に閉じられた環境ではなく、普段通りにつくば市民が歩いている「実環境」である。コースの全長は1580m。この中で、中間地点にある探索エリアにおいて4人の人物を探し出すことが課題として与えられた。また、今回の新しいチャレンジとして、横断歩道の走行もコースの中に加わった。

当日エントリーしたのは50チーム。1チームで2台のロボットを走行させたチームもあるので、エントリーしたロボットは56台となった。このうち、大学の研究室チームのロボットが39台、高等専門学校のチームのロボットが3台、個人/ホビーグループのロボットが14台となっている。
ロボットのサイズは、遊歩道を歩行/走行するのに適した人間のサイズが基本で、進行方向の横幅は75cm以内、長さは120cm以内、高さは0.6m~1.5mとし、重量は60kg以下を推奨している。また、走行時の最高速度は4km/h以下に決められている。
 

全長1580mのコースレイアウト。大清水公園を380mほど周回した後に広い遊歩道を通過し、スタート地点から750m地点にある探索エリアに入る。探索エリアを抜けたら、反対側にある、地面から生えた木が障害物となっている遊歩道や歩道橋、段差、急勾配を抜け、1400m地点にある横断歩道を渡ってゴールを目指す。 全長1580mのコースレイアウト。大清水公園を380mほど周回した後に広い遊歩道を通過し、スタート地点から750m地点にある探索エリアに入る。探索エリアを抜けたら、反対側にある、地面から生えた木が障害物となっている遊歩道や歩道橋、段差、急勾配を抜け、1400m地点にある横断歩道を渡ってゴールを目指す。
探索エリアにいる4人の探索対象者は、ロボットが識別しやすいように緑色のジャンパーの上にオレンジのベストと帽子を着用し、横に高さ90cmの看板が置かれている(左)。この看板もロボットが識別しやすいように、レーザーを強めに反射するテープが貼ってある。横断歩道は、実際に車が行き交う道路にある(右)。10mほどの距離を20秒以内で渡りきらなければならない。 探索エリアにいる4人の探索対象者は、ロボットが識別しやすいように緑色のジャンパーの上にオレンジのベストと帽子を着用し、横に高さ90cmの看板が置かれている(左)。この看板もロボットが識別しやすいように、レーザーを強めに反射するテープが貼ってある。横断歩道は、実際に車が行き交う道路にある(右)。10mほどの距離を20秒以内で渡りきらなければならない。

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