新しいものづくりがわかるメディア

RSS


未来を拓くキーワード

ウエアラブル “ポスト・スマホ”の有力候補(下)

Google社のヘッドマウント・ディスプレイ「Google Glass」の登場をキッカケに、ウエアラブル端末に対する関心が幅広い分野で高まっています。その一方で、さまざまなウエアラブル端末が市場に出てきました。こうした中、スマートフォンに代わる新たな市場のけん引役としてウエアラブル端末に期待する雰囲気がエレクトロニクスやICTの業界に広がっています。

前編はこちらから

さまざまな企業がウエアラブル端末を発表

Google Glassが登場した前後から、さまざまな企業が多彩なコンセプトのウエアラブル端末を発表しています。具体的には、ヘッドマウント・ディスプレイをはじめとするメガネ型端末、「スマートウォッチ」とも呼ばれている腕時計型端末、腕輪型端末が主なところです。このほかに、手袋、髪留め、指輪といった形態の端末を発表している企業もあります。

例えば、このころから登場した主なヘッドマウント・ディスプレイには、ブラザー工業の「AiRScouter」、米Oakley社の「Airwave」、オリンパスの「MEG4.0」(試作発表)、セイコーエプソンの「MOVERIO BT-100」、Vuzix社の「M100」や「B2500AR」などがあります。 

スマートフォンと連動

腕輪型端末では、米Fitbit社の「Fitbit Flex」、米Nike社の「Nike+FuelBand」、米Jawbone社の「UP」などが登場しています。このうち、Fitbit Flexは、ソフトバンクモバイルが2013年夏から展開しているヘルスケア・サービスに採用されました(図1)。 

図1 米Fitbit社の腕輪型ウエアラブル端末「Fitbit Flex」 ※NE 2013年11月25日号 p.39 図A-1 図1 米Fitbit社の腕輪型ウエアラブル端末「Fitbit Flex」
※NE 2013年11月25日号 p.39 図A-1

生活における活動量を管理するサービスで、Fitbit Flexなどのウエアラブル端末で記録した歩数や消費カロリー、睡眠時間などのデータを、スマートフォンを介してクラウド・サーバー上に蓄積できます。

Fitbit Flexは、Bluetooth 4.0の低消費電力モード「Bluetooth Low Energy」を使ってスマートフォンと通信。スマートフォンにインストールした専用アプリを起動すると自動的に同期し、Fitbit Flexに記録したデータがクラウド上のサーバーに送信されるようになっています。

Jawbone社のUPも、2013年春から睡眠時間や運動量などを記録できる健康管理用リストバンドとして販売されています(図2)。

図2 米Jawbone社の腕輪型ウエアラブル端末「UP」 ※NE 2013年11月25日号 p.39 図A-1 図2 米Jawbone社の腕輪型ウエアラブル端末「UP」
※NE 2013年11月25日号 p.39 図A-1

UPは、内蔵する3軸加速度センサで利用者の動きを検出。活動時間、運動の激しさ、歩数、歩いた距離、消費カロリー量などを記録できるようになっています。記録したデータは、スマートフォンで管理したり、表示したりすることができます。

発売当初のUPでは、本体のヘッドフォン・ジャックがスマートフォンとのインタフェースになっていましたが、2014年3月から発売している最新型では、無線でデータが伝送できるようになりました。

斬新なコンセプトのデバイスも

腕時計型ウエアラブル端末も次々と登場しました。2013年9月に韓国Samsung Electronics社が「GALAXY Gear」を発売。同じ月にソニーモバイルコミュニケーションズも腕時計型ウエアラブル端末「SmartWatch2」を発売しています。このほかにもイタリアI’m S.p.A社の「I’m Watch」、米Motorola Mobility社の「MOTOACTV」、米Pebble Technology社の「Pebble」など、これまでに数多くの製品が発売されました。

前述のようにウエアラブル端末の分野には、スタートアップ企業も数多く参入しており、スタートアップならではのユニークなコンセプトに基づくウエアラブル端末の製品化に取り組んでいます。その一つが、日本のログバーです。同社は、指輪型ウエアラブル端末「Ring」を開発しています(図3)。 

図3 ログバーの指輪型ウエアラブル端末「Ring」の目標形状 ※NE 2013年11月25日号 p.30 図3(b) 図3 ログバーの指輪型ウエアラブル端末「Ring」の目標形状
※NE 2013年11月25日号 p.30 図3(b)

Ringは、指の動き検出することができます。同社は、まだ詳細を明らかにしていませんが、Ringを使った新しいコミュニケーション手法を実現する考えです。

ここにきて続々と登場しているウエアラブル端末。まだ実験的な製品が多いように見えますが、その技術は着実に進化しています。多くの消費者に受け入れられる強力な用途が浮上してくれば、ウエアラブル端末の市場は一気に広がるはずです。 

 

おすすめ記事

 

コメント

ニュース

編集部のおすすめ

連載・シリーズ

注目のキーワード

もっと見る