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製品レビュー

グラデ出力がきれい! 色表現豊かな3Dプリンター「ダヴィンチJr. 2.0 Mix」

クラウドファンディングサイトMakuakeの先行販売プロジェクトで目標額100万円に対して363%もの支援を受けた、XYZプリンティングジャパンの3Dプリンター「ダヴィンチJr. 2.0 Mix」。
税込みでも9万6984円と10万円を切る低価格だが、同社のこれまでのラインナップには無かった、新しい機能が特徴だ。

「ダヴィンチJr. 2.0 Mix」の外観はこれまでのダヴィンチJr.シリーズとほぼ同じである。側面の色はクリアレッドだ。 「ダヴィンチJr. 2.0 Mix」の外観はこれまでのダヴィンチJr.シリーズとほぼ同じである。側面の色はクリアレッドだ。

従来のFFF(熱溶融積層)方式における2色造形といえば、色ごとにノズルを用意しレイヤーごとに使うノズルを切り替える3Dプリンターが多い。
ちなみにXYZプリンティングジャパンの「ダヴィンチ2.0A Duo」も、2つのノズルを持つ3Dプリンターである。今回レビューをするダヴィンチJr. 2.0 Mixは2色のフィラメントを1つのノズルから出力するというデュアルフィードシステムを採用している。

(出典:XYZプリンティングジャパン) (出典:XYZプリンティングジャパン)

デュアルフィードシステムとは図の通り1つのノズルに対してフィラメントの挿入口が2つあり、それぞれのフィラメントの送り出しのスピードを調整することで、2色のフィラメントの混色を可能とするシステムである。
出力モードは3種類で、色を指定して1色で出力する単色モード、.stlデータごとに色を指定して1つの造形に複数色を使用できる多色モード、本体にセットしてある2色を混ぜながら出力できるグラデーションモードがある。

ノズルモジュール。ノズルは1つであるが、フィラメントの挿入口は2つあることが分かる。 ノズルモジュール。ノズルは1つであるが、フィラメントの挿入口は2つあることが分かる。

単色モード、多色モードはインポートした3Dモデルごとに色を指定して出力できる。ただし、単色モードといえどもこのダヴィンチJr. 2.0 Mixは2色の混色が可能なため、従来のデュアルヘッドの3Dプリンターとは異なり、どちらか片方のフィラメントの色ではなくその中間色を指定しての出力が可能である。
今回は多色での印刷を例にその出力の設定の様子を紹介していく。

付属ソフトウェアの「XYZware」上では、フィラメントの色や種類、残量などの情報が反映される。今回は黄と赤のフィラメントを使ったので、画面右側に黄と赤の混色を指定できるパネルが表示されている。 付属ソフトウェアの「XYZware」上では、フィラメントの色や種類、残量などの情報が反映される。今回は黄と赤のフィラメントを使ったので、画面右側に黄と赤の混色を指定できるパネルが表示されている。

まずは多色モードを使って出力をしてみる。今回はポテトフライとその箱の色を分けて出力した。2色の出力という点ではデュアルヘッドの3Dプリンターでも可能ではあるが、1つのノズルによるデュアルフィードでの色分けがどこまで可能かという点に注目していきたい。2色のフィラメントを1つのノズルから出力するので、色分けに関しては少し難がありそうである。しかし、この多色モードの出力において、色が混じることを回避する機能がこのダヴィンチJr. 2.0 Mixには搭載されている。

調色エリアの設定画面。 調色エリアの設定画面。

この機能が調色エリアというものである。設定画面で「調色エリアを有効にする」にチェックを入れると、造形エリアのグリッドの左一列の色が変わり、そこに3Dモデルを配置できなくなる。このエリアは、3Dプリントをする際に混色を防ぐため、色を切り替えるたびに指定の色になるまで混ざった色の出力を置いておく場所となっている。
ちなみにこのポテトのデータは、色ごとに2つの.stlデータを用意してそれぞれをソフトウェアに読み込ませて位置合わせをしている。位置合わせでは.stlの座標データが反映されないため、ソフトウェア上で手動でxyz座標それぞれ位置合わせしなければならないのが少し大変である。そして出力した結果が以下の画像である。

ポテトフライの出力比較。 ポテトフライの出力比較。

左の写真が調色エリア無しで出力したもの、右の写真が調色エリアありで出力したものである。混ざったフィラメントの捨て場所となる調色エリアが無いとかなり色が混ざってしまい、意図した出力結果になっていないことが分かる。
一方で、調色エリアありで出力したものに関しては多少の色の混ざりはあるものの、おおむねソフトウェアでのプレビューに近い仕上がりになっている。ただし、調色エリアはそこに壁を3Dプリントしているのとほぼ同義であり、エリアなしのものと比べると出力時間は長くなってしまう。
きれいな2色の色分けをメインで使いたいユーザーは、デュアルヘッドを搭載したダヴィンチ2.0A Duoを購入すると良いだろう。

調色エリア設定ありの出力直後の写真。調色エリアには、このような色の混ざったフィラメントを捨てるための壁が出力される。 調色エリア設定ありの出力直後の写真。調色エリアには、このような色の混ざったフィラメントを捨てるための壁が出力される。

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