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特別レポート@大分

3Dプリンタで「1000人が必要なもの」をつくる大分芸短のデジタルファブ講義

9月25日に配信した神田沙織さんとXYZプリンティングのシェリー・リャンさんのインタビューでは大分県立芸術文化短期大学(以下、芸短)で「Product for 1000」という講義を始めるに至った経緯から、大分で今起きている子どもや女性を中心としたデジタルファブリケーションムーブメントについて紹介した。
今回は実際に大分に飛び、「Product for 1000」の講義を通じて、学生や大学から見たデジタルファブリケーション技術についてレポートする。

デジタルファブが可能にした、1000人に届けるものづくり

今回のために用意された「Product for 1000」のワークシートの一部。企画から販売までのフレームワークやメソッドが詰め込まれていて、デザイナーだけでなくエンジニアやプランナーにも応用できる内容になっている。 今回のために用意された「Product for 1000」のワークシートの一部。企画から販売までのフレームワークやメソッドが詰め込まれていて、デザイナーだけでなくエンジニアやプランナーにも応用できる内容になっている。

「Product for 1000」は神田沙織さんと平本知樹さん、広告プランナーのケイフジエダさんを中心に企画された講義で、クリエイター自身が、プロダクトの企画から、デザイン、試作に加えWeb上での販売戦略を学び、3Dプリンタで作った作品を使ったプレゼンテーションをする内容だ。

「Product for 1000」では、生産量が1個から100個程度のハンドメイド品・特注品と1万個以上の大量生産品の中間にある100〜1000個規模の生産量のプロダクトが、デジタルファブリケーション技術により個人や小さなチームで企画から販売まで全てに携わることが可能になりつつある点に着目した。自分を含めた1000人が欲しいと思うものを提案することを通じて、ものづくりのプロセスとデジタルファブリケーション技術を8月と9月にわけて5日間15コマで学ぶ。

デジタルファブリケーション技術を駆使したデザインの流れを短期間で学べるようにアレンジされており、デザインや設計だけでなくコンセプトから販売先まで考えるのが特徴だ。 

大分県立芸術文化短期大学 大分県立芸術文化短期大学

この授業に参加したのは、専攻科の1年生(大学3年生相当)、デザイン専攻に在籍する6人。前半の2日間ではアイデアを掘り下げるために自分の好きなものや欲しいものとその理由やエピソードを洗い出し、ペアになって相手に説明してその反応を見ながら、万人受けするものではなく世界中で1000人だけが欲しいと思えるプロダクトのアイデアの種となるキーワードを羅列する。それらをグルーピングして、さらに一つのアイデアに絞り込んでいき、プロダクトの企画案を作成する。

アイデアの絞り込みにはマンダラートやKPT法を使い、短時間のうちにロジカルに発想を深堀りしながらも具体的なプロダクトに落とし込める工夫がなされている。

プロダクトのアイデアを固めた後は3D CADソフト「Rhinoceros」でのモデリングと並行して、プロダクトが利用されるシーンの想定やWeb上での販売方法などを決め、3Dプリンタで出力して、プレゼンテーション用のデータを「behance」というポートフォリオ共有サイト上に作成し、リハーサルを経て最終日にファブラボ大分で地元自治体の関係者を招いてプロダクトを発表する。

コンセプトの個人ワークに多くの時間を割くカリキュラムは学生にとっても新鮮だったようで、「これまでの授業では機能性の高さや万人を対象にしたテーマでの作品作りが主だったので、自分も含めて1000人が欲しいと思えるコンセプトで時間をかけて自分を掘り下げて考えるというのは、これまでに全く経験が無かった」と話す学生もいた。 

「Product for 1000」の授業の風景。 「Product for 1000」の授業の風景。
芸短に提供されたXYZプリンティングの3Dプリンタ「ダヴィンチ1.0」(手前)と「ダヴィンチ2.0 Duo」(奥)。取材当日もフル稼働で学生の作品を出力していた。 芸短に提供されたXYZプリンティングの3Dプリンタ「ダヴィンチ1.0」(手前)と「ダヴィンチ2.0 Duo」(奥)。取材当日もフル稼働で学生の作品を出力していた。

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