新しいものづくりがわかるメディア

RSS


ロケット打ち上げを見学しよう!

下町ロケットの勢いに乗って、世界一美しい種子島ロケット打ち上げツアーガイド

日本のものづくりの誇りと情熱が込められたドラマ「下町ロケット」。2018年10月から第二部が放映中だ。ドラマの中で何度も出てくるロケットの打ち上げシーンがある。人生で一度はロケットの打ち上げを現地で直接見たいと思う読者も少なくないだろう。しかし、種子島に大型ロケットの発射基地「種子島宇宙センター」があると知っていても、なかなか行けるものではない。距離の問題もあるが、ロケット打ち上げ日はとても混雑し、見学場所に入れない人もいると聞く。まずは見学に必要な現地の情報、種子島への行き方、どこに宿を予約して、どこで打ち上げを見るべきか等、詳しく情報を調査する必要がある。

本レポートでは、打ち上げの見学願望を捨てきれなかった筆者が、子ども連れで、可能な限り近く、混みすぎていない場所からロケットの打ち上げを見学するために、自ら調べ、予約し、体験して得た役立つ情報を紹介する。

下町ロケットに憧れて種子島まで

まずはロケット打ち上げの発射基地がどこにあるかご存知だろうか。日本の基幹ロケット「H-IIA」と「H-IIB」の打ち上げを行う種子島宇宙センター大崎射場は種子島の南島に位置する。種子島に到着してからこの位置まで移動しなくてはいけないのだが、鹿児島からの船が着く西之表港からは車で約1時間30分ほどかかる。

打ち上げ日は混雑すると聞いている。そうなると種子島で移動するための乗り物と宿の場所が重要だ。一度見学したことがある知人から「レンタカーと宿はすぐに埋まるから、早めに手配したほうがいいよ」とアドバイスを受けて、手配に失敗しないTIPSを抽出した。

プレスリリースの配信サービスに登録

とにもかくにも打ち上げ予定日をいち早く知る必要がある。予定日の発表は打ち上げ2カ月前と決まっている。JAXAの打ち上げ予定を確認しながら、プレスリリース配信サービスに登録し、毎日チェックする以外の方法はなかった。

ロケットのブースターや第1段が落下する海域で操業している漁業関係者は、JAXAから事前告知を受けるため、公式発表前に打ち上げ予定日を知っているという。残念ながら漁業関係者に知り合いもいない。また、海外のメディアは2カ月よりさらに前にリークする時があるという噂だが、筆者がネットで検索しながら観測していた限りでは、ネット検索しても知るすべは無かったように思う。ある海外メディアでは打ち上げ予定日が紹介されていたが、予定日が1カ月ほどずれていた。

H-IIA 40号機を見学したい

筆者は、温室効果ガス観測技術衛星2号「いぶき2号」(GOSAT-2)を搭載したH-IIA 40号機の打ち上げに狙いを定めてプレスリリースを待った。7月上旬あたりから毎日メールをチェックし、ドキドキしながら待ち続けること約2カ月。8月28日14:01にJAXAからのプレスリリースを受信して、2018年10月29日(月)13:08~13:20(日本標準時)に打ち上げ予定時刻が決まったと分かった。

宿とレンタカーを予約しよう

打ち上げ予定日が発表されたら、まずは種子島南東部の宿とレンタカーとロケット発射場から一番近く見学できる恵美之江展望公園のそばにある恵美之湯の駐車場、鹿児島と種子島を結ぶ高速船「トッピー」と「ロケット」(以下、高速船)の順番で予約する。(高速船以外にフェリー、飛行機ルートもある)

打ち上げ予定日が発表された時点で、宇宙センターから近い宿はほぼ埋まっている。おそらくJAXAや三菱重工など打ち上げの関係者が数週間前から宿泊しているからだろうと推測される。そこは諦めつつ、その時点で空室がある宿を素早く探して予約する。旅行サイトに掲載されていない宿もあるため、Google Maps等の地図サービスからも検索してみてほしい。

特定の宿に限らず、打ち上げ予定日前後の宿泊料金は通常の1.5倍ほどに値上がりしているように思う。筆者は初めてだったこともあり、他に安い宿がないか1日悩んで探している間に、第一希望の宿が満室になる失敗を経験した。結果的に他の宿も値上がりしており、支払う金額はさほど変わらなかった。

高速船と桜島。鹿児島港から一望できる。 高速船と桜島。鹿児島港から一望できる。

鹿児島港から高速船に乗って種子島の西之表港を経由すると想定していたため、西之表港周辺にあるレンタカー会社から、港に一番近いオリックスレンタカーを予約する。オリックスレンタカーを予約する際は、お得なキャンペーン情報を掲載していることがあるのでWebサイトをチェックしてみてほしい。筆者は2泊3日でチャイルドシート付きのコンパクトカーを選択。キャンペーンを利用して1万3000円程度で予約した。

入場規制や満席でも諦らめないで

打ち上げ当日は、射点を中心に半径3km以内は立ち入り禁止となる。南種子町のWebサイトで紹介されている通り、半径3km以上離れたロケット打ち上げ見学場は4カ所あるが、どこも大変混雑する。中でもギリギリ半径3kmの地点にあり一番人気とされる恵美之江展望公園は、当日朝7時には入場規制が掛かっていた。

混雑に巻き込まれずに、子ども連れでゆっくり見学するのにお薦めなのが、種子島サーフステイ恵美之湯(以下、恵美之湯)だ。恵美之江展望公園のすぐそばにある宿で、宿泊しなくても駐車場だけ予約して、敷地内の庭や屋上からゆったりと見学できる、知る人ぞ知るスポットだ。

駐車場料金は、1台あたり2000円。予約はプレスリリース発表後から電話でのみ受付している。当日は200台以上の車が駐車していた。ゆっくり見学できるとはいえ、恵美之湯の人気は高い。早めに電話することをお勧めしたい。

恵美之江展望公園は、打ち上げ予定6時間前の朝7時から入場規制された。 恵美之江展望公園は、打ち上げ予定6時間前の朝7時から入場規制された。

高速船を予約しよう

種子島へのルートは3種類。鹿児島空港から飛行機(約30分、1万3000円)か鹿児島港から高速船(約1時間30分、7700円)、鹿児島港からフェリー(3時間30分、4200円)のいずれか。筆者は、金額と移動時間のバランスを考えて高速船を選択した。

鹿児島空港から鹿児島港まで、リムジンバスで1時間程度の移動時間がかかる。十分な乗り継ぎ時間の確保が必要だ。高速船のオンライン予約サイトで便を購入していても予約完了ではない。出発1時間前に受付窓口で予約番号と引き換えに、座席を指定する必要があるので注意してほしい。

高速船の窓口。 高速船の窓口。

高速船の便数は多くなく、1日6便前後。高速船の予約は希望日の2カ月前から可能になっている。正午あたりに出発する便は早めに埋まりやすい。種子島は、日が落ちると島中が真っ暗になるため、夕方前に到着することをおすすめしたい。

オンライン予約サイトで、もし希望の便が満席になっていても諦めないでほしい。オンライン予約サイトからは普通席しか購入できないので、窓口の受付でのみ購入できるスーパーシートが空いている可能性がある。実際に筆者が搭乗した便は、普通席が満席でもスーパーシートは半分も空席だった。普通席が満席だったときは念のため、スーパーシートの空席がないか窓口に電話で問い合わせてみよう。

打ち上げ前のおすすめスポット

打ち上げ予定日まで余裕があったら、1968年9月に種子島で初めてロケットが打ち上げられてから2018年で50週年を迎えた宇宙センター等を見学してみてほしい。宇宙センター内にある宇宙科学技術館は、JAXAの宇宙開発の最先端研究や開発に関する資料の展示のほか、宇宙開発の記録映像を上映する。実物大の試験モデルに実際に触ることができる。

宇宙科学技術館の正面入口。 宇宙科学技術館の正面入口。
宇宙科学技術館の庭に展示されたH-IIAの実物大模型。 宇宙科学技術館の庭に展示されたH-IIAの実物大模型。

宇宙科学技術館から車で5分ほど移動すると、大崎射場を見渡せるロケットの丘展望所がある。夜になるとライトに照らされた美しい景色を眺めることができる。

美しい青い海に面した大崎射場。大型ロケット整備組立棟(左)とH-IIB用の大崎射場吉信第2射点(中央)、H-IIA用の大崎射場吉信第1射点(右)。 美しい青い海に面した大崎射場。大型ロケット整備組立棟(左)とH-IIB用の大崎射場吉信第2射点(中央)、H-IIA用の大崎射場吉信第1射点(右)。

打ち上げまで場所取り

恵美之湯の駐車場は打ち上げ予定時刻2時間前から利用できるため、10月29日11時に到着した。2時間前から予約した人たちが続々と集まっていて、いつの間にか300人ほどの人たちが場所取りをしながら待機していた。恵美之湯の周辺は日差しをさえぎる場所が少ない。直射日光の中で場所取りする必要がある。日よけと椅子、お菓子と飲み物を持参することおすすめしたい。

恵美之湯で打ち上げを待つ。宿の屋上に観覧用の予約席が設けられていた。 恵美之湯で打ち上げを待つ。宿の屋上に観覧用の予約席が設けられていた。

肉眼でもはっきりとH-IIA 40号機が見える。

射点から3kmあたり。恵美之湯のベランダ付近からの眺め。 射点から3kmあたり。恵美之湯のベランダ付近からの眺め。

そして、いよいよ打ち上げ!

たったの1分間だったが、打ち上げの瞬間は強烈な光と爆音、地響きで身体が振動する。とても貴重な体験だった。映像で見るのとは、やはり違う感動がある。ぜひ一生に一度は、世界一美しい発射場と言われる種子島宇宙センターに足を運んで見学してみてはいかがだろう。

本レポートで紹介した場所をGoogle Mapsにまとめた。

さて、種子島ロケットツアーガイドを総括すると、打ち上げ予定日の情報を早めにゲットして、移動手段と見学場所を予約できれば、非日常的な感動を全身で味わうことができるといえる。前述のTIPS以外にも、レンタカーを予約できなかったときは、タクシーを貸し切りにした観光タクシーで島内を回る方法やレンタルバイクを予約する方法もある。移動手段さえ確保できれば、あとは現地でなんとかなるだろう。

最後に、こればかりは運を天に任せるしかないが、ロケットや人工衛星の不具合や修理、荒天の影響で延期される場合がある。残念ながら、延期になったら見学を諦めるしかない。いちかばちかの運任せになるが、ロケットから放たれる想像をはるかに超えたエネルギーを全身で体験したら、あなたの今後の人生観が変わるかもしれない。

おすすめ記事

 

コメント

今人気の記事はこちら

  1. 自宅でコーヒー豆が焙煎できる——熱風式焙煎機「ホームロースター」
  2. Raspberry Pi Zeroでスマートホーム——コーディング不要のIoTプラットフォーム「Strawberry4Pi」
  3. DIP16ピンでArduino Zero互換——32bit「Atmel SAMD21」搭載の小型開発ボード「uChip」
  4. ファナック製CNCに対応した工作機械向けプロトコルコンバーター「FBR-100AN」
  5. 造形物にUVプリンターでダイレクト印刷——ミマキエンジニアリング、FFF方式3Dプリンター「3DFF-222」発売
  6. 3連メーターが男心をくすぐった東芝が送り出したモノラルラジカセ「TOSHIBA RADIO CASSETTE RECORDER RT-570F ACTAS-570」
  7. IoTシステムをDIY感覚で設計できる——6社共同オープンソースプロジェクト「Degu」発足
  8. ハイレゾ音源を再生できる——+Style、超小型IoTボード「SPRESENSE」シリーズを発売
  9. 独フラウンホーファーIWU、スクリュー押出式高速3Dプリンター「SEAM」を発表
  10. 重量わずか10g——鳥のように羽ばたいて飛ぶ小型ドローン「MetaFly」

ニュース

編集部のおすすめ

連載・シリーズ

注目のキーワード

もっと見る