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初心者が失敗しないための3Dプリンター購入ガイド——機種選び、お店選びのコツ、必要な事前準備などを徹底解説

3Dプリンターが世間で注目を集めるようになって早10年。いまや様々な業界で欠かすことのできない存在となっている3Dプリンターですが、実際に使ったことはないという方もまだまだ多くいらっしゃると思います。

そこで、ここでは3Dプリンターをこれから始める初心者のために、3Dプリンターにはどんな種類があり、どうやって選べばいいのか、また実際に3Dプリンターを購入して使用するにあたってどのような準備をすればいいのかについて、順を追って説明します。

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3Dプリンターは2022年の今が買い時

改めまして、私はSK本舗の遅沢翔と申します。

SK本舗とは2018年に私が創業した3Dプリンターとレジンの販売店です。現在SK本舗は光造形方式の3Dプリンターの代表的なメーカーであるPhrozenと正規代理店契約を結んでおり、また近年では自社オリジナルレジンやメーカーとのコラボレーションによるオリジナル3Dプリンターの開発販売なども行なっています。簡単にまとめるなら、3Dプリンターにまつわる様々なものを、お求めやすい価格で、また手厚いサポートと共に提供している通販ショップです。

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SK本舗を通じて日々3Dプリンターに関わる中で、特にここ数年は3Dプリンターの低価格化と高品質化が進んでいるように感じます。かつてであれば、一般人には決して手が届かなかったような高品質の3Dプリンターが、現在は手頃な価格で販売されているのです。

ただ、数年に渡って続いていたこの価格競争の波も今は安定してきています。これ以上の低価格化を想像することは難しく、おそらく今後は価格競争ではなく、各メーカーが小刻みに機能をアップデートさせていく流れになるのではないかと思います。

これはつまり、3Dプリンターは今が買い時ということです。現状、3Dプリンターを使う予定がない人にとっても、まもなく本格的に到来するであろう3Dプリンター時代を見越し、今の段階で3Dプリンターの知識や経験を身につけておくことは決して損ではないはずです。

というわけで、以下ではまず、これから3Dプリンターを購入する可能性のある人に向けて、3Dプリンターの主な種類と、失敗しない選び方について解説したいと思います。

3Dプリンターの種類

3Dプリンターには大きく分けて、業務用と家庭用の2種類があります。

一般に、業務用3Dプリンターとは企業が商品や試作品の製造のために使用する3Dプリンターのことを、家庭用3Dプリンターとは個人が趣味などで使用する3Dプリンターのことを指します。しかし実を言うと、業務用と家庭用を明確に区別する定義はありません。あくまでも価格帯やスペックに基づく便宜上の区分であり、価格が高くて高スペックなものが業務用、そうでないものが家庭用と呼ばれていると思って問題ありません。

ここでは特に「家庭用」と呼ばれている3Dプリンターについて解説します。まずは主な種類から見ていきましょう。

現在、市場で流通している家庭用3Dプリンターの主流とされているのは、造形方法の異なる2種類の3Dプリンターです。ひとつは熱溶解積層(FFF)方式と呼ばれる3Dプリンターで、もうひとつは光造形(SLA)方式と呼ばれる3Dプリンターになります。

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もともと、家庭用3DプリンターにおいてはFFF方式のものが主流でした。しかし、近年、SLA方式の3Dプリンターの低価格化が進んだことによって、SLA方式の3Dプリンターのユーザーが激増し、人気を二分するようになりました。

では、FFF方式とSLA方式では何がどう違うのでしょうか。それぞれの特徴について見ていきましょう。

※なお、家庭用3Dプリンターにはこの他に粉末固着積層方式と呼ばれる3Dプリンターなども存在します。ただし、まだそれほど一般的ではなく初心者向けの3Dプリンターでもないため、この記事では説明を省略します。

FFF方式とSLA方式、それぞれの利点と欠点

まずFFF方式ですが、これは熱溶解積層方式という名前の通り、素材を熱によって溶かしたものを射出し、積み重ねることによってオブジェクトを造形するタイプの3Dプリンターです。

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一般的な素材としてはフィラメントと呼ばれる熱で溶けるプラスチックが用いられることが多いですが、金属や、チョコレートなどの食品を造形することも可能です。

その主な魅力は、FFF方式には多くの機種があり、また価格が他のタイプと比べて安価であること。さらに一般人でも扱いやすく、操作や管理が簡単であることなどが挙げられます。

一方、FFF方式で造形したオブジェクトは、他のタイプと比較して表面がでこぼこしやすいのが欠点です。このでこぼこは積層痕と呼ばれ、造形中に層が重なる際にできます。そのため、たとえ精度の高いFFF方式の3Dプリンターを使用したとしても、成形後に表面をやすりなどで磨いて滑らかにするのが一般的です。また、造形物によっては部位の冷却ペースが異なり、出力中に形がゆがんだり縮んだりする特徴もあります。

続いてSLA方式ですが、こちらは光造形方式という名前の通り、液状の光硬化樹脂(レジン)にコンピューター制御されたレーザーを照射して硬化することでオブジェクトを造形するタイプの3Dプリンターになります。

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FFF方式のような積層痕が生じづらく、表面が非常に滑らかで精密であることが特徴です。3Dプリンターはオブジェクトを造形するための機械ですから、この性能に関してはFFF方式よりもSLA方式のほうが高いと言えます。

しかし、SLA方式の場合、出力後に造形物にまとわりついたレジンを洗浄する必要があり、その分の手間が掛かります。また、素材となるレジンは、FFF方式の主な素材であるフィラメントと比較して取り扱いに注意が必要であり、特に子供の手が届く場所での保管はおすすめできません。

さらに以前は、価格帯に関してもSLA方式のほうが高価でした。ただ、この点に関しては前述の通り近年では低価格化が進んでおり、FFF方式と比較しても大きな差はなくなってきています。

まとめると、安全性や管理のしやすさ、機種の豊富さに関してはFFF方式のほうが優れており、造形物の精密さや美しさに関してはSLA方式のほうが優れていると言えます。

ただし、あくまでもこれは一般論に過ぎず、実際の3Dプリンター選びにおいては、機種ごとの個性も考慮しなければなりません。実際、SK本舗ではFFF方式、SLA方式の両方の機種を取り扱っていますが、どちらも共に素晴らしい3Dプリンターです。

しかしながら、これから3Dプリンターを始める人で、かつ家庭内で安全な使用環境を整えられる人に対しては、機能面においてより優れているSLA方式の3Dプリンターをおすすめするようにしています。

3Dプリンターの失敗しない選び方

さて、FFF方式とSLA方式という2種類の3Dプリンターの特徴を理解していただいた上で、次に考えなければならないのは、実際にどの3Dプリンターを購入するかです。

ここで重要なポイントは、3Dプリンターは単に「高ければいい」ものではないという点でしょう。

確かに高価格な3Dプリンターほど性能が高いという側面はありますが、安価な3Dプリンターでも高価な3Dプリンターと同レベルの性能を有していることもあります。また、特に初心者にとっては使いやすさも大事です。ハイスペックではあるけれど、機能が多過ぎて操作が難しい3Dプリンターの場合、せっかく高いお金を出して買っても使いこなせず、結果的に損をしてしまう可能性があります。

そこで、初心者が3Dプリンターを検討する際は、低価格かつ高機能な、市場において人気のある3Dプリンターを選ぶのがおすすめです。人気のある3Dプリンターの場合、取り扱いの解説動画などがネット上に多くあるため、そこも利点となります。

2022年現在、FFF方式の3DプリンターならCREALITYやAnycubic、SLA方式の3DプリンターならPhrozen、ELEGOOなどのメーカーが人気です(AnycubicはSLA方式の3Dプリンターも人気です)。

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また、3Dプリンターを購入するお店選びも重要です。

現在、人気のある家庭用3Dプリンターの多くは海外メーカーのものです。そのため、国内メーカーと比較すると、故障トラブル時の問い合わせや部品の取り寄せを個人で行うのが難しくなる傾向があります。

ですから3Dプリンターを購入する際は、アフターケアが充実している店で購入することをおすすめします。特に海外メーカーの3Dプリンターの購入を予定しているなら、そのメーカーの正規代理店となっている店を利用するのが最も安心です。

ちなみにSK本舗はSLA方式の3Dプリンターの人気メーカーであるPhrozenの正規代理店になります。

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3Dプリンターと一緒に準備するものは?

ところで、3Dプリンターを購入する際に、一緒に購入しておくべきものがいくつかあります。

まず何よりも大事なものは素材です。FFF方式の場合はフィラメント、SLA方式の場合はレジンを一緒に購入しておかなければ、3Dプリンターを購入しても使うことができません。

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素材と合わせてニッパーも事前に用意しておくとよいでしょう。ニッパーは3Dプリンターでオブジェクトを出力した後、造形物を支えるサポート材を切り取る際に使用します。

またSLA方式の3Dプリンターを購入する場合はFEPフィルムという商品やゴム手袋などを一緒に購入しておくとよいでしょう。

FEPフィルムとはレジンを流しこむレジンVATの底についているフィルムのことです。初心者には出力の失敗がつきものです。出力失敗が起きると、レジンVATの底(FEPフィルム)に失敗して固まったレジンがくっついてしまいます。それを剥がす際、レジンと一緒にFEPフィルムが破れることがあるため、予備のフィルムをあらかじめ用意しておくと安心です。

ちなみに、3Dプリンターと同じメーカーのFEPフィルムを必ず使う必要はありません。SK本舗ではSK本舗特製国産FEPフィルムをおすすめしています。

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ゴム手袋はSLA方式の素材であるレジンを扱う際、特に出力後のオブジェクトからレジンを洗い流す時などに必要となります。レジンは素手で触れると皮膚荒れの原因になるため、使用の際にはゴム手袋が必須です。万が一、素手で触れてしまった時のために、付着したレジンを洗い流すための薬用石鹸も用意しておくとよいかもしれません。

もうひとつ、3Dプリンターの購入と合わせて準備しておくべき重要なものがあります。スライサーソフトです。スライサーソフトとは、出力物の設計図となる3Dデータを3Dプリント用のデータに変換するためのソフトウェアのことです。

3Dプリンターにデータを認識させるためには、3Dデータを「Gコード」という形式に変換する必要があります。スライサーソフトはその変換を担うものです。また、スライサーソフトでは出力に関する様々な設定を調整できます。つまり、出力物のクオリティを左右する非常に重要なソフトということです。

このスライサーソフトには無料から有料まで様々な種類があり、用途に応じて使うべきスライサーソフトが変わってきます。ただ、初心者ならば最初は無料のスライサーソフトを使うのがよいと思います。

FFF方式の3Dプリンターを使用する人はCURAというスライサーソフト、SLA方式の3Dプリンターを使用する人はCHITUBOXというスライサーソフトが、使いやすさや機能においておすすめです。どちらのスライサーソフトもインターネットで無料でダウンロードできます。

3Dプリントを行うためには3Dデータが必要

さて、これで3Dプリンターを使用するまでの準備が整いました。ここからようやく出力を試す段階に入るわけですが、その上でも初心者には分からないことが多くあると思います。

3Dプリンターのセットアップはどうすればいいの? 3Dプリンターのパラメーターの設定はどうすればいいの? 出力の際は何に注意すればいいの?

こうした初心者が抱くであろう疑問点に関しては長くなってしまいますので、また機をあらためて詳しく解説したいと思います。

この記事では最後に、出力にあたって絶対に必要な3Dデータについて解説します。

3Dプリンターにおける3Dデータとは出力物の設計図にあたります。3Dプリンターはこの3Dデータに従ってオブジェクトを造形し、出力します。

この3Dデータを用意するためには、大きく分けて2つの方法があります。

ひとつは、自分で3Dデータ作成ソフトを使って3Dデータを作成するというもの。もうひとつは、他の人が作成した3Dデータを入手するというものです。順番に説明していきましょう。

3Dデータを自分で作成する

3Dプリンター用の3Dデータを自身で作成することを、一般にモデリングと呼びます。正直、このモデリングをきちんと行うためには、相当量の技術と知識が必要です。決して一朝一夕に習得できるものではなく、特に複雑なモデリングを試みたい場合は、時間をかけて地道に学んでいく必要があります。

ただ、シンプルなモデリングであれば初心者でも行えます。まずはシンプルな造形から始めて、慣れていく中で徐々に複雑な造形にチャレンジしていくのがおすすめです。

その上で重要となるのが3Dデータ作成ソフト選びです。モデリングを行うためには3Dデータ作成ソフトが欠かせません。

この3Dデータ作成ソフト選びにおいて気をつけるべきことがあります。それは、いきなり操作が難しいプロ向けの3Dデータ作成ソフトを使用するのは避けるということ。3D作成ソフトには「3DCG」系、「CAD」系などいくつか種類があり、またソフトごとにモデリングの方法も様々です。そのため、初心者は一体どのソフトを使えばよいか迷うことも珍しくありません。

細かい話をするなら、作りたいものに応じて使うべき3Dデータ作成ソフトというのがあります。ただ、モデリング初心者はひとまず、TinkerCADFusion360などのAUTODESKが提供している3Dデータ作成ソフトを使用するのがよいと思います。いずれも体験版などを無料で使用でき、また初心者にとって必要となる機能は全て揃っているソフトです。

他の人が作った3Dデータを入手する

自身でモデリングを行わずに3Dデータを入手したい人は、3Dデータ販売サイト、あるいは3Dデータ配布サイトを通じて3Dデータを入手できます。

これらのサイトでは、世界中のモデラーたちが作成した様々な3Dデータが販売、配布されており、ユーザーが気に入った3Dモデルをダウンロードできるようになっています。特に現在は、無料データであっても種類、数ともに豊富です。

3Dプリンターを購入し、まず何よりも出力を試してみたいという人は、こうしたサイトを通じて3Dデータを入手するのがよいと思います。現在、有名なサイトとしては、ThingiverseMyMiniFactoryモデラボ3d CAD DATAなどがあります。

3Dプリンター初心者はしっかりと事前調査と準備を

これで3Dプリンターと3Dデータの用意ができました。あとは出力あるのみです。

もちろん、ここで取り上げたこと以外にも、様々な疑問点やつまずきポイントがあると思います。そうした点についても機をあらためて解説していきます。

また、私が運営するSK本舗は、購入者向けのアフターサービスが充実しています。3Dプリンターに関する質問、問い合わせに対して常時対応可能な体制を整えています。さらにSK本舗のサイト上では3Dプリンターに関する様々なお役立ち情報、最新ニュースなども常時配信しています。3Dプリンターのことでお悩みのなら、ぜひ一度3Dプリンター&レジンの総合通販「SK本舗」をのぞいてみてください。

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