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Dr.片山の100均ロボット研究室

便利なツールと100均プチ電車で作るテオ・ヤンセン風リクショー

こんにちは。片山均(かたやま ひとし)です。愛媛県八幡浜市にある三瀬医院で院長を務めながら、100円ショップの材料をメインとしたロボットを日夜作っています。

以前、オランダのキネティックアーティスト、テオ・ヤンセンが生み出したストランドビーストを100均ロボットで再現しました。

滑らかに歩く姿はお気に入りなのですが、脚の構造が複雑な上に、12本も必要になります。そのため、完成までにそれなりの時間が必要になってしまいます。

どうにかならないものかと真剣にネット調査をしたところ、Scratchで作られた、簡単にリンク機構のシミュレーションができる「リンク機構シミュレーター」というツールを発見しました。

さらにネット調査を進めると、「テオ・ヤンセン機構を使ったリクショー(Rickshaw according to Theo Jansen Mechanism)」の画像も発見。ちなみにリクショーとは人の力で引く二輪車で、人力車を縮めてできた言葉のようです。リクショーなら、脚2本にタイヤ2個で作れます。

今回は、発見したツールを使って8バーリンク機構を作り、プチ電車に最適化したテオ・ヤンセン風リクショーを作ってみました。

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テオ・ヤンセン風プチ電車リクショーの製作過程

まずは材料をご紹介します。

  • プチ電車シリーズの駆動車 1個
  • 竹の箸 5本
  • 竹串 2本
  • ミニストロー 1本
  • ロリポップスティック 2本
  • タイルマット 適量
  • 木製スティック 7本
  • 画びょう 6個
  • 脚の長い画びょう 6個

製作過程は以下になります。

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いつものざっくりとした設計図です。この通り進むかどうかは神のみぞ知る……。

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適当な長さに切った竹の箸をグルーガンで接着して、プチ電車を載せる本体を作ります。

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コンパスカッターでタイルマットを大3個、小2個の円形に切り出します。

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大きい方の円形タイルマットを3個重ねて竹串を通します。

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タイルマットに通した竹串をミニストローに通し、本体に取り付けます。

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クランク用の木製スティックを接着します。

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ロリポップスティックを本体に接着します。

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クランクに短いロリポップスティックを接着します。

車輪の軸受けとなるミニストローを接着します。

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軸受けに竹串を通し、車輪になる小さい円形タイルマットを取り付けます。

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リンク機構の木製スティックを留めるための画びょうが抜けないように、あらかじめロリポップスティックの端にグルーを塗っておきます。

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リンク機構シミュレーターを使って作成した8バーリンク機構が上図です。実際の木製スティックの長さは、接地部以外の端を5mmずつ長くしておきます。

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ピンバイス(100円ショップのもので可)で木製スティックに穴を開けます。

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リンク機構に使う木製スティックを切り出します。

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木製スティック、画びょう、足の長い画びょうでリンク機構を組み立てていきます。木製スティックが3枚重なる部分とクランクのロリポップスティックにつながる部分には足の長い画びょうを使用します。

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木製スティックのリンク機構を、足の長い画びょうで本体とクランクのロリポップスティックに留めます。

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プチ電車を載せれば完成です。

ツールを使えば部品を減らしたリンク機構が作れる

今回は、リンク機構シミュレーターを使用したことで、比較的部品数が少なく単純な比率でテオ・ヤンセン機構に匹敵するリンク機構ができました。

リンク機構部分は全て画びょうで留めるため、先に100円ショップで売っているピンバイスで木製スティックに穴を開けて、スティックが割れないようにしています。

注意点としては、プチ電車のトルクや木製スティックの長さに制約があること。そのため、リンク機構の最適な比率を見つけるための試行錯誤が必要でした。

今回のロボット、シンプルな割に、動き自体はテオ・ヤンセン機構を使ったものに負けない仕上がりになったと思います。

これに味をしめて、今回使用したリンク機構シミュレーターを使って毛玉取りロボットで使うための8バーリンク機構も作ってみました。

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こちらは頑張って8脚ロボットにしてみたのですが、いい感じに動いており満足しています。

第24回の研究発表は以上です。次回もお楽しみに!


企画・制作:片山均
取材・文:三浦一紀

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