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全塗布プロセスによる超薄型の自己給電式光脈波センサーを開発

理化学研究所らの国際共同研究グループは2024年4月11日、ウェアラブルデバイス向け超薄型光脈波センサーを開発した。

LEDと光検出器を用いた光学式の光脈波センサーは、LED光を皮膚に照射して、その反射光をとらえることで、脈波、血中酸素濃度、血圧などのデータが取得できる仕組みだ。測定時の人体への装着負荷も減らすことができる。

3層構造から成る全塗布・超薄型有機光電子デバイスの構造 3層構造から成る全塗布・超薄型有機光電子デバイスの構造

同研究グループは、有機太陽電池と有機光検出器、有機発光ダイオード(LED)を厚さ1μmの基板上に形成して、発光や光検出、自己給電の機能を備える超薄型の光脈波センサーを実現した。応用例として、手の甲や指先にデバイスを装着したイメージを紹介している。

光脈波センサーを構成するための有機光電子デバイスは、従来、複雑な多層積層構造になっていた。この研究では、材料を塗布して成膜する塗布プロセスで全層を製作する工法である「全塗布プロセス」を採用し、「透明電極」「不透明電極」「機能層(有機半導体層)」の3層に簡略化して機能を1つの基板上に集積することに成功している。

疑似太陽光による自己発電を用いた超薄型光脈波センサーは、脈拍に対応する1.2Hz(72bpm)の周波数を持つシグナルを示し、脈拍が正常に計測できることを確認している。また、周囲空気に35日以上暴露した後でも脈波に関連する信号を維持できたという。

製造には全塗布プロセスが採用できることで、複雑な機能を統合した超薄型有機電子デバイス製造の生産向上が期待できるとしている。

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