特別寄稿
太宰府からボホールへ——日本とフィリピンのファブラボをつなぐワークショップで見たもの
こんにちは、九州大学工学部3年の飯島祥です。大学で機械工学を学ぶ傍ら、ファブラボ太宰府のスタッフとして週末にアルバイトで働いています。ファブラボでは主に、利用者のものづくりのサポートや、機材のメンテナンスをしています。
昨年10月に行われた日本ファブラボ会議に参加し、「i2i:共創のワークショップ」というイベントを知りました。このイベントは、日本人とフィリピン人が力を合わせ、フィリピンの地域問題を解決するプロダクトを開発するワークショップであり、アイデア出しからビジネスモデルの設計まで行い、そのアイデアとプロダクトをチームで競うものです。プロダクトの開発はフィリピンのファブラボ、FabLab Bohol(ボホール)で行われました。
発展途上国の課題解決に取り組むワークショップに、作る人間として参加できる上に、現地の人と実際にコミュニケーションが取れるというこのワークショップの内容の新鮮さにとても引かれ、参加を決めました。またそれ以前に僕はもともと、ファブラボを通じて外国を巡ることに強い憧れがありました。以前、フロンティアメイカーズ育成事業に参加してアメリカのメイカースペースを見て回った時も、ものを作ることを通じていろんな人と出会えるのはすごくすてきなことだと思っていました。なので、今回は国を越えたファブラボの可能性を追求するきっかけにもなるだろうと期待していました。
この記事では、日本での参加者打ち合わせと、フィリピンで1月4日から8日まで行われたワークショップの様子をお伝えします。
まず、10月末に、フィリピン側から10個のプロダクト案が送られてきて、日本人参加者がそれぞれ関心の強いものを担当することになりました。その中で僕は、周りの環境に合わせ照度を自動で調光して節電をする街灯のプロジェクト、“e-Gen light”に関心を持ち、ボホール大学に通う4人のフィリピンの学生とチームを組みました。
それから1月までの間、課題とプロダクト案についてフィリピン側のチームと相談をしたり、日本の参加者同士でGoogleハングアウトで進捗報告を行ったりして、準備を進めました。
1月6日(ワークショップ1日目)
この日は、はじめにホテルに集合して、開会の挨拶が行われました。その後、フィリピンのチームメンバーと顔合わせ、今後のスケジュールを立てました。
僕達のチームは、これから作るe-Gen lightの構想について話し合い、同時に、ビジネスにつなげるための顧客インタビューの予定を立てました。
僕がこの日彼らにした提案は、街灯に無線の機能を付けるということです。単に周りの明るさに応じて明暗を変化させる街灯ではなく、個々の街灯が周りの明るさのデータを取得し、それを無線で1カ所に集める。その可能性を試す意味で今回は、そういった街灯を作ることにしました。
1月5日~6日(2日目、3日目)
この2日間は主にファブラボでe-Gen lightのプロトタイプを作成しました。まず、スケッチ図の外装をファブラボにある3Dプリンタで出力しました。
また、e-Gen lightの鍵となる「XBee」という無線モジュールの動作確認を行いました。この無線モジュールに取り付けた照度センサで周りの明るさのデータを取得し、1分ごとに親機のパソコンに送信するようにしました。
無線が正しく機能することを確認した後、はんだ付けをして実装を行いました。
メンバーにも協力してもらい、組み立てを行いました。彼らには、LEDテープを貼り付けるための板をレーザーカッターで切り出してもらいました。
こうして、最低限の動作をするe-Gen lightのプロトタイプができました。