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DMM.make AKIBA、2024年4月末に施設運営を終了 今後も支援サービスは継続

DMM.comは、同社が運営する会員制コワーキングスペース「DMM.make AKIBA」(東京都千代田区)の施設運営を、2024年4月30日に終了することを発表した。

DMM.make AKIBAは2014年11月に東京・秋葉原エリアにオープン。コワーキングスペースと工房スペースが24時間利用できる施設として営業を開始した。主にハードウェア・スタートアップやアーティスト、クリエイター向けにハードウェア製品の試作開発やビジネス面での支援サービスを提供してきた。

とりわけ特徴的なのは大型CNCや旋盤などの本格的な工作機械や基板や筐体設計、塗装などの専用設備や、熱衝撃や恒温恒湿、荷重試験などの各種試験機材などの機材の充実ぶり。オープン当初から日本を代表する会員制メイカースペースとしても注目を集めた。

2021年には2フロアあったスペースを統合した後も、製造業企業や自治体、行政機関とのコラボレーションを進め、施設運営のノウハウを活かしたコンサルティングサービスなどを提供してきた。過去にはスタートアップ向けのアクセラレーションプログラムの提供や、海外のスタートアップ支援施設との提携するなど、日本のハードウェア・スタートアップ支援のエコシステムの中心的存在として貢献。直近では2023年にはオンラインコミュニティを開設するなど、施設以外のネットワークも広げてきた。

今回の施設クローズの理由として、DMM.comは昨今の市場の変化に伴うものと説明する一方で、今後は「これまでの施設運営で培ってきたノウハウ・ネットワークを活かし、モノづくりに特化したコワーキングスペース開設・運営コンサルティングや、各種ワークショップ・イベント開催支援などの企業・自治体・教育機関向けのサービスをメインに提供してまいります」としている。

また、東京都が2023年11月にプレオープンさせたスタートアップ支援拠点「Tokyo Innovation Base」にも参画し、ハードウェア・スタートアップ向けの支援を開始する。

最終日となる2024年4月30日にはクローズイベントの開催も予定している。

これまでに延べ1000社以上が活動、170社以上のスタートアップが利用

画像:DMM.make AKIBAのウェブサイトより

ハードウェア・スタートアップにフォーカスした大型メイカースペースは国内のみならず、海外でも数少ない。また、昨今では政府がスタートアップ支援に重点を置く政策を発表しているが、民間によるスタートアップ支援施設としてのDMM.make AKIBAの貢献は非常に大きい。

およそ9年間の間にDMM.make AKIBAを利用したスタートアップは170社超。その中には施設の立ち上げにも大きく関わったCerevoをはじめ、キャラクター召喚装置のGatebox、コミュニケーションロボット「LOVOT」のGROOVE Xなど、さまざまなスタートアップがDMM.make AKIBAから巣立った。

また、きゅんくん氏AKI INOMATA氏など、さまざまなジャンルのアーティストも同施設を利用。全自動で動作するルービックキューブを開発して、SNSで大きな話題を集めたMaker蕪木孝氏など、幅広いクリエイターが活動する拠点としても機能していた。

ORPHE(当時の社名はno new folk studio)が2015年に開発していたスマートシューズ「Orphe」。写真で着用しているモデルはアーティストのきゅんくん氏。Orpheはエンターテイメント業界で注目された後、アシックスと提携。本格的なランナー向けシューズを開発している。(撮影:加藤甫)

DMM.make AKIBAで創業し、現在はスマートシューズを開発するORPHEのCEO菊川 裕也氏はfabcrossの取材に対して、「初期のプロトタイピングから量産時の検証まで数えきれないほどお世話になりました」とコメント。今回の発表については「場所が無くなってしまうのは寂しいが、そこで得た仲間とのつながりはずっと続く。これからも面白いものを作ることでDMM.makeに恩返ししたい」と感謝の意を述べた。

DMM.make AKIBAのホワイトボードに描いたタタメルバイクのコンセプト図(上)と、2023年時点のタタメルバイク(下)

また、DMM.make AKIBAに入居ししていたCerevo、GROOVE Xの2社で在籍した後、モビリティを開発するスタートアップ「ICOMA」を創業した生駒崇光氏は「DMM.make AKIBA(以下、AKIBA)は新しいことがやりたくて起業した人や、スタートアップに転職した人が集まる場所だった」と振り返る。

その上で「都内でものづくりに関するイベントができる場といえば、真っ先に浮かぶのがAKIBAでした。会社員時代に電動バイクの自作から今につながるプロジェクトをスタートできたのも、AKIBAという施設があったからこそだと思います」(生駒氏)と、創業の後押しになったと言及した。

 

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