日本科学未来館、世界最先端アンドロイドと話せる常設展スタート
2014/07/18 11:15
日本科学未来館は常設展のロボットコーナーを拡大し「アンドロイド — 人間って、なんだ?」を6月25日に公開した。 人間に似せたアンドロイド開発で著名な大阪大学特別教授の石黒浩氏が監修。子供の姿をした「コドモロイド」、成人女性の姿の「オトナロイド」、体型や顔つきといった特定の人物の要素を削ぎ落とした「テレノイド」の3種類のアンドロイドが展示されている。
世界初のアンドロイドアナウンサー「コドモロイド」
コドモロイドは、悲しい内容を中心にセレクトされたニュースや宇宙天気予報をさまざまな言語と声色で読み上げる女児型アンドロイドで、株式会社セント・フォース所属のアナウンサー中田有紀氏の指導を受けている。 3階「零壱庵」コーナーにあるスタジオに設けられた小さな窓から覗き込むようにして様子を見ることができ、アート要素の強い展示となっている。
操作と会話ができる「オトナロイド」
成人女性の姿をした「オトナロイド」はさまざまなしぐさや表情を見せるだけでなく、来場者が操作したり対話することもできる遠隔操作型アンドロイドだ。
来場者は1回につき3分間、オトナロイドを操作することができる。
ブースに入ってオトナロイドの向かい側に座り、マイク付きのヘッドフォンを装着して話かけると、オトナロイドが人に向かって答え、ヘッドフォンに仕込まれたジャイロセンサで検知した対面者の首の動きを再現する。
また「うれしい」「かなしい」「おこる」といった感情表現を表すボタンを押すと、それぞれの感情に応じた表情やジェスチャーに変化する。
オトナロイドの目に内蔵された魚眼レンズ付きカメラを通じて、対話者の様子をモニタリングできる他、オトナロイドの視線を対話者に合わせることもでき、リアリティのある対話が可能になっている。
また日本科学未来館の職員である科学コミュニケーターによるデモンストレーション(開館日の11時30分と14時30分の2回実施)では、さらにバリエーションに富んだ動きと表情を披露しながら、ロボットと人間の違いについて来場者と一緒に考える仕掛けを用意している。
不気味さを乗り越えて親密になれる「テレノイド」
テレノイドは人間らしさを徹底的に突き詰めた他の2体と異なり、必要最小限の人間らしさを突き詰めている。
別室に置かれたマイクから、テレノイドを抱っこしている人にマイク越しに話しかけることができる他、左右の腕を動かして対話の相手を「ハグ」するといった機能が備わっている。
人間らしさを最低限にすることで、声の主のイメージを対話者が想像で補完することを意図している。既に日本とデンマークの介護老人保健施設で、テレノイドを介して被験者同士を会話させる実証試験が行われており、テレノイドへの受容的な態度や会話の積極化が見られたという結果が報告されている。
日本科学未来館でもテレノイドを介して会話することで普段言えないことが自然に言えたり、まだ親密になっていないカップルや友達同士でもテレノイドを抱きながら会話することでより関係が深まるなど、直接対面する会話では見られない反応が来場者の間に起きているという。
日本科学未来館では今年6月にロボットコーナーを拡大。3階の常設展示「未来をつくる」では今回紹介した3体のアンドロイド以外にも本田技研工業が開発した「ASIMO」をはじめ、さまざまなロボットが展示され、実演プログラムも多数用意されている。