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ウェアラブル電子機器向け、伸縮性のあるバッテリー——曲げても伸ばしても出力を維持

Unsplash/Nadine Shaabana

身体の動きに合わせて曲げたり伸ばしたりできるウェアラブル電子機器向けに、安全で、柔らかく伸縮性のあるバッテリーが開発された。スタンフォード大学が上海交通大学などと共同で行ったもので、研究成果は2019年11月26日付『Nature Communications』に掲載されている。

現在、電子機器はポケットや財布の中などあらゆる場所にあり、皮膚に密着させたり、衣類に縫い付けられたりすることもある。しかし、電力源に大きくて硬いバッテリーを使用する場合、それが快適さを損ない、しかも化学物質の漏れや発火による安全上の問題を引き起こす恐れがある。

こうした課題に対し、バッテリーにプラスチックまたはポリマーを用いることがあり、リチウムイオン電池も電解質としてポリマーを使うものが登場している。だが、ポリマー電解質は流動性のゲルである以上、場合によっては漏れたり発火したりするリスクはある。

今回研究グループは、このようなリスクを避け、より安全に電力を貯蔵するために、固体の状態で伸縮可能かつ電荷の移動が可能な超分子リチウムイオン伝導体を開発した。この伝導体は、29.3 MJ/m3という高い靭性と、1.2×10-4 S/cm(25℃)という高いイオン電導度を備えている。この超分子伝導体をバインダーとすることで、従来のスラリー電解質を用いて、900%を超える伸び率を可能とする伸縮性リチウムイオンバッテリー電極の実現が可能となった。

伸縮性の高い超分子コンポーネントを用いることで、電極と電解質の界面で密接な結合が可能になり、容量が1.1 mAh/cm2、70%の歪みでも伸縮して機能する、伸縮性バッテリーが得られた。

実験室でのテストでは、折り曲げられても、元の長さの約2倍まで引き伸ばされても、試験用バッテリーは一定の電力出力を維持した。プロトタイプは親指の爪程度の大きさで、同サイズの従来バッテリーの約半分のエネルギーを保持できる。

今回の成果により、人々が快適に着用できる電子機器を設計できる。例えば、皮膚に密着して心拍数やその他のバイタルサインをモニターする伸縮性センサーに、同デバイスを用いて電力を供給することが考えられる。

研究チームは、現在、伸縮性バッテリーのエネルギー密度を高め、より大きなデバイスを作ることに取り組んでおり、将来的に実験室外でその性能を実証するための実験をすることを目指している。

fabcross for エンジニアより転載)

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