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従来の10倍高性能な有機薄膜トランジスタ回路を、10分の1の低コストで製造できる技術を開発し、RFID信号伝送に成功

新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は2014年1月27日、東京大学らのグループが、印刷で製造できる有機薄膜トランジスタ(TFT)回路を開発し、RFID信号伝送に成功したと発表した。

この研究は、NEDOの戦略的省エネルギー技術革新プログラム「革新的高性能有機トランジスタを用いたプラスティック電子タグの開発」においておこなわれたもの。

有機半導体には、シリコンなどの無機半導体と比べて、塗布法・印刷法などの比較的簡単で低温での作製が容易で、薄型化や低コスト化も容易であるなどの利点があり、プラスティックRFIDタグやフレキシブルディスプレイなどの用途が期待できるとされている。しかし、これまでは低コストで簡便に、実際に商用周波数でRFIDタグと通信する高速応答性能を実現することは困難だった。

この研究プログラムにおいては、従来の塗布型有機トランジスタの性能を1桁上回る新しい有機半導体「アルキルDNBDT」を開発するとともに、有機半導体を溶液で塗布すると同時に結晶化させる製造技術「塗布結晶化法」など複数の関連技術を開発した。

さらにこれら技術で作成した整流素子とアンテナを使って13.56MHzでのRFID信号の伝送に世界で初めて成功した。現在は、RFIDタグに搭載する論理回路部分を同じ手法で作成するための研究開発を進めている。また、東京大学内に組織した、有機材料開発からパネル部材、装置開発、デバイス開発を行う企業とのコンソーシアム「ハイエンド有機半導体研究開発・研修センター」では、RFIDタグに限らず、高速動作の有機エレクトロニクスデバイスの開発を目指すとしている。 

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