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どんなに叩きつけても壊れない——金属3Dプリンティングと切削加工技術が融合した全金属製ギター

スウェーデンのエンジニアリンググループSandvikは、ロックスターの破壊パフォーマンスにも耐えて壊れない全金属製ギターを製作し、その製作過程を公開した。

Sandvik Smash-proof guitar

ロックスターがライブステージで見せるパフォーマンスの1つが、ギターの徹底的な破壊だ。そのための破壊専用ギターというのもあるが、Sandvikはいかに最先端の技術を使って高精度かつ驚くほど耐久性のある物を作ることができるかを示すため、自社グループ内から機械加工や付加製造技術などのエキスパートを集めて、絶対に壊せない「耐破壊性ギター」を考案し製作した。

Sandvik Coromantの機械加工開発担当者であるHenrik Loikkanen氏は、ミュージシャンがどうやってギターを破壊しているのかをYouTube動画を見て研究し、ネックとボディをつなぐ接合部のない破壊不能なギターを設計した。

Sandvik Smash-proof guitar

ギターのネックと指板は、再生ステンレス鋼からフライス盤を使って削り出して作製された。ネックの先端は長方形の「ハブ」になっていて、ハブがボディに深く入り込む形の構造だ。また、ネックと指板の間にはIsotropic Lightweight Structure(ILS/等方性軽量構造)と呼ばれる軽量化構造が採用された部品が組み込まれている。

Sandvik Smash-proof guitar
Sandvik Smash-proof guitar
Sandvik Smash-proof guitar

ギターのボディには、軽量かつ頑丈にするため、チタンが素材に選ばれた。パウダーベッド方式の金属3Dプリンターを使い、チタン粉末を積層して作製。各層の厚さは0.05mmで、ボディのプリントには56時間かかったという。また、ボディに取り付けるノブやストップテールピースも3Dプリンターで作られた。完成したギターは頑丈であるだけでなく、見た目にも美しい。

Sandvik Smash-proof guitar

このギターの破壊に挑戦したのは、ギターの巨匠にして速弾きの王者、スウェーデン出身のイングヴェイ・マルムスティーン氏だ。彼は7歳の時にジミ・ヘンドリックスがギターを壊す姿をテレビで見て「かっこいい!」と感動し、それ以来ギターを壊し続けているという。

マルムスティーン氏は、Sandvikが製作したギターをステージの床に叩きつけたり、投げつけたり、アンプやモニターなどの機材にぶつけたりして壊そうとしたが、壊れるのは機材のほうでギターはびくともしない。それどころか、さんざん痛めつけたギターを拾い上げて、演奏を続けることすらできた。ギターの巨匠は「このギターはどうやっても壊せないが、このギターで他の物は壊せる」と、耐破壊性ギターのポテンシャルについて述べている。

Sandvikの技術者は「スチールは、実は非常に頑丈であると同時に軽い物になりえることを示したい」と話す。また、このプロジェクトに参加した付加製造エンジニアのAmelie Norrby氏は「付加製造技術のおかげで、従来のフライス加工では不可能だった内部構造を持ちながら、より頑丈でより軽くよりフレキシブルな部品の製作が可能になった」と述べている。

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