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専用メガネ不要で3D映像——平面レンズを使用した「ライトフィールドディスプレイ」

Image Credit: Wen Qiao, Soochow University

中国の蘇州大学の研究チームは、新しいフラットレンズを開発し、裸眼で3D映像を見ることができるライトフィールドディスプレイの視認距離を大幅に伸ばすことに成功した。研究成果は『Optica』誌に2022年3月10日付で公開されている。この技術は、テレビや携帯電子機器、卓上機器などに利用できるコンパクトな3Dディスプレイ開発への応用が期待できる。

ライトフィールドディスプレイは、物質から反射する光をディスプレイ上で再現することで、立体視を実現する技術。従来の視差方式のような専用メガネを必要とせず、裸眼で映像を立体的に視認することが可能だ。しかし、既存のライトフィールドディスプレイは3D映像の視認距離が短く、ディプレイから遠ざかるにつれて立体感が薄れてしまう。ライトフィールドディスプレイ方式では、別の角度から見ても同じような3D映像が見えるようにするために異なる視野を投影する。その際に使用するレンズの焦点距離が短いことが、3D映像の視認距離が短くなる原因だ。

今回開発したフラットレンズは、表面にナノ構造体を並べて光を集束させる仕組みで、厚さはわずか100μmだ。焦点深度が非常に深いため、明瞭な3D映像を遠くからも見ることができる。

このフラットレンズを複数枚組み合わせて作成したライトフィールドディスプレイは高い解像度を示し、視距離24〜90cmの範囲でクロストークは26%以下となった。質の高い立体視のためには、画像が本来入るべき側と逆の眼に入る割合を示すクロストークは低いほうがよい。また奥行きの知覚に重要な水平視差は滑らかであった。さらに光効率は、これまでに報告されている同様の3Dディスプレイシステムよりもはるかに高く、82%に達した。光効率が高いと明るい映像を作ることができるため、携帯電子機器のような低消費電力が必要となるアプリケーションでは特に重要となる。

今回作成したディスプレイの視野角は9度とほぼ正面からしか立体視できないが、フラットレンズに使用するナノ構造の設計を最適化することで180度近くまで拡大できる可能性があるとしている。

fabcross for エンジニアより転載)

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