飛行手段を革新する航空機——空飛ぶ円盤型VTOL機「ADIFO」
2019/04/23 10:30
ルーマニアで発明された空飛ぶ円盤のような形の飛翔体が話題になっている。公開されたビデオには、空飛ぶ円盤が垂直に離陸し、前後左右に飛び回る様子が撮影されている。
一見すると円盤型のドローンのようだが、これは新しい概念の航空機「ADIFO(All DIrections Flying Object:全方向飛翔体)」の概念実証モデルだ。ADIFOはVTOL(Vertical Take-off and Landing:垂直離着陸)機で、分類上は翼に働く揚力で機体を支えて飛ぶ航空機にあたる。
ADIFOが円盤型をしているのは意味がある。機体全体を翼とし、どの方向からでも揚力を得られ、どの方向にも飛べるようにしているためだ。風洞実験では60度に傾けても高い揚力をたもつという。また、その形状により、亜音速(マッハ0.8~1.2程度)から超音速で飛行したとしてもソニックブームが生じないという。この形状はヨーロッパで特許を取得している。
ADIFOは垂直に離陸し、低速ではクワッドコプターとして飛行する。巡航速度ではジェットエンジンを使い、排気ノズルを動かして、ヨー、ピッチ、ロールをコントロールする。高速飛行時の機体制御を横方向のノズルで行うことにより、通常の飛行機とは比較にならないほど高い運動性能を実現しているという。ADIFOは背面飛行も可能な上、円盤型の形状により弾道飛行(準軌道飛行)も可能と説明されている。
動画に登場するADIFO概念実証モデルはすべて電動駆動式で、水平方向の推力重量比は0.3。実用モデルとしてジェットエンジンに換装すれば、推力重量比1.5以上が可能だという。
ADIFOの開発者は、小型、軽量、高機動性を生かし、自家用機やUAV、軍事用航空機など、多種多様な用途に応用可能だとしている。
(fabcross for エンジニアより転載)