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メタマテリアルを使用した「スマート衣料」を開発——ウェアラブルデバイスの伝送効率を1000倍改善

シンガポール国立大学(NUS)の研究チームは、布地に導電性素材を組み込むことで、複数のウェアラブルデバイス間で低電力、高効率、セキュアなデータ通信ができる「スマート衣料」を開発した。ウェアラブルデバイスの伝送効率が1000倍改善するとともに、バッテリーレスのウェアラブルデバイスの可能性も示唆している。研究結果は、2019年6月17日付けの『Nature Electronics』に掲載されている。

スマートウォッチをはじめ多くのウェアラブルデバイスは、BluetoothやWi-Fiを介してデータ通信を行っている。通常その電波は全方位に伝播するためエネルギーロスが多く、バッテリー寿命を圧迫する原因になる。ユーザーが身につけるデバイスの数が増え、データが複雑になるにつれ、新しい接続方法の開発が求められている。

研究チームは、導電性素材を衣類に貼り合わせた「ワイヤレスボディセンサーネットワーク」を開発。メタマテリアルで作った、くし型ストリップが特徴で、そこから発生する「表面波」は衣類の上空わずか10cm以内の範囲を滑るように伝播するという。

その結果、デバイス間の信号エネルギーは全方位には広がらず、効率的なデータ通信が可能になり、デバイスの消費電力の削減にもつながった。John Ho助教授によると「デバイス間の電力レベルは1000分の1になり、受信信号の強度は1000倍増加する。同じ電力でより高いデータレートが可能だ」と説明している。

こうした信号強度の増加は、バッテリーフリーのウェアラブルデバイスへの扉も開けるだろう。例えば、スマートフォンからウェアラブルデバイスへワイヤレス電力送信も可能で、既存のスマートフォンやデバイスがそのまま使えるという利点もある。さらに、狭い通信範囲は個人情報や機密情報を保護し、よりセキュアなネットワークを構築できる。

使用したメタマテリアル自体も安価で、1メートルあたり数ドル程度。特徴的な「くし」の形は、利用する電波の周波数に最適化した結果だ。くし型にレーザーカットした後、布用接着剤で接着しただけだが、折りたたんだり曲げたりしても信号強度の損失は最小限で、導電性ストリップ部分は切れても破れてもワイヤレス性能には影響しない。通常の服と同じように、洗濯、乾燥、アイロンがけをしても大丈夫だという。

今後は、スポーツウェアやメディカルウェアとしての機能テストを進める予定。手の動きだけでワイヤレスヘッドフォンのボリュームを調整したり、動きを妨げられることなくバイタルサインを計測できるようになるかもしれない。

fabcross for エンジニアより転載)

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