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熱を閉じ込めて光に変換するカーボンナノチューブ薄膜を開発

Illustration by Chloe Doiron

米ライス大学の研究チームは、単層カーボンナノチューブ(CNT)薄膜を利用して熱をエネルギーに変換する技術を開発した。「ハイパボリック(双曲型)サーマルエミッタ」と呼ぶ整列したCNTは、空気中に拡散していく熱(中赤外線)を吸収し、電気に変換可能な光として放出するため、廃熱のリサイクルや、太陽電池の変換効率向上が期待できる。研究結果は、2019年6月26日付けの『ACS Publications』に掲載されている。

太陽光にも含まれる赤外線は、我々に熱をもたらすが、電磁波スペクトルのごく一部でしかない。また、ある研究によれば産業界が消費するエネルギーの約20%は廃熱として放出され、多くのエネルギーが無駄になっている。

「熱を持った物体は熱放射として光を放出する。問題は熱放射が広帯域であるのに対して、効率よく光を電気に変換するには狭帯域の放射が適しているということだ」と、研究チームのGururaj Naik助教授は語る。今回研究チームは、広帯域の光子を絞りこんで狭帯域に変換する方法に取り組んだ。

共同研究者の河野淳一郎教授は、2016年に非常に密に整列したCNT薄膜をウェハサイズの大きさで作製することに成功しており、今回はその薄膜が「熱光子」の変換に使えるかどうかに注目した。熱から電気への変換にはタービンなどを使うのが効率的だが、可動部を持たない小型で簡単なシステムの構築も目的のひとつだ。

研究チームは、チップサイズのCNT薄膜にサブミクロンスケールの空洞の列をパターンニングした。整列したCNTはダクトのように熱を吸収し、空洞は共振器となり狭帯域の光に変換して放出する。CNTの電子は一方向にしか移動できないので、CNT薄膜は電子の移動方向では導体に、垂直な方向では絶縁体となる。研究チームはこの効果をハイパボリック分散と呼んでいる。熱光子はいろいろな方向から薄膜にぶつかるが、一方向にしか出ることができない。実験では、700℃の環境でも動作し、狭帯域の出力が得られることを確認した。

研究チームは熱から直接電気に変換するのではなく、熱から光、光から電気に変換した。2段階の手法の方が3段階よりも効率が良いと思われるが、そうではないという。また、CNT薄膜は約1700℃の温度にも耐えられるので、高温環境での用途に向いている。研究チームによれば、太陽電池に組み込むと従来よりも効率の良い発電が可能になると考えている。「全ての廃熱エネルギーを狭帯域に絞り込むことで、非常に効率よく電気に変換できる。理論上は80%の効率を得ることができる」と、Naik助教授は説明している。

fabcross for エンジニアより転載)

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