基板内部に電子回路を立体造形——Nano-Dimensionの電子回路PCB基板3Dプリンター「DragonFly LDM」
2020/09/15 14:00
Nano-Dimensionから、電子回路基板の立体造形が可能な同社の3Dプリンター「DragonFly LDM」による、3次元電子回路基板印刷技術の応用例が紹介されている。
同社のDragonFly LDMは、導電性材料と誘電体材料を同時印刷できる電子回路基板用3Dプリンターだ。この3次元電子回路基板印刷技術(Additive Manufacturing Electronics)によって、基板内部に立体的な導体回路を形成して高周波に対して新機能を持たせたり、基板内に小容量のコンデンサーやコイルなどを生成してマイクロ波アンテナ、メタマテリアル、RF伝送路などを造形することができる。
チューナブルアンテナへの応用では、パッドのサイズと層間の距離などを変えることで、放射ビームの方向や強度を調整し、いろいろな条件を同一バッチで印刷して、最適化プロセスを短縮できる。
位相配列アンテナへの応用では、第3軸の印刷を使い、小さなパッドに接続された複数のコイルのようにして、3Dタイプの小型化部品をアンテナエレメントに追加できる。各々のエレメントは送受信ユニットとして動作し、それらを組み合わせて位相配列構造を構成する。
ローパスフィルターへの応用では、印刷キャパシターの精度は、一般的チップコンデンサーより高精度な+/-2%(同社実績)。高周波特性の優れたコンデンサーの印刷が可能となり、マイクロストリップラインなどと組み合わせるとローパスフィルターなどを容易に回路に組み込める。
ポスト壁導波路(PWW)への応用では、高周波伝送路としてPWWを回路上に組み込み、RF信号伝送路の高性能設計が可能となる。PWWを3次元的に重ね合わせることで、立体構造の伝送路の構築、高周波回路の小型化、高性能化が容易となる。
メタマテリアルへの応用では、高精度の印刷キャパシターと印刷インダクタンスを組み合わせて、基板内部に小型の共振エレメントを作りこむことが可能だ。共振エレメントの組み合わせにより、いろいろな特性のメタマテリアルを作り出すことができる。電子回路基板上の回路部とメタマテリアル部の混在が可能なため、EMC対策や基板内蔵RFアンテナの指向性制御などが容易に行えるとしている。