3Dプリンター用フィラメントドライヤー「IFD-175 AP」——ヒーターと空気の流れを利用
2024/11/21 06:30
インラインフィラメントドライヤー「IFD-175 AP」がKickstarterに登場し、出資を募っている。
IFD-175 APは最高190℃に達する30Wポリイミドヒーターとエアポンプを採用し、熱と空気の流れを利用して1.75mm径フィラメントを3Dプリント中にリアルタイムで乾燥させる製品だ。
開発元は、5kgのASAフィラメントスプールを使って3Dプリンター6台で長時間造形をした際に、フィラメントの乾燥状態を維持することが困難だったので、問題を解決するためにインラインフィラメントドライヤーの開発を始めたという。
市販の乾燥ボックスは大きなサイズのスプールを収容できず、食品の乾燥でよく使われる小型オーブンではフィラメントが乾燥するまで非常に時間がかかってしまう。また、工業用乾燥機は価格が高すぎるため、安価で手ごろに使用できる製品を開発することにしたとのことだ。
IFD-175 APのチューブは、片方の端に2つの入口があり、1つはコア部分と、もう1つは乾燥剤を詰めたチャンバーとつながっていて、反対側の端には出口が1つだけある構造だ。フィラメントが通過するコア部分はアルミニウム製で、その周囲にポリイミドヒーターを設置。さらに、保温性を高めるためにファイバーグラス製の断熱材で覆っている。フィラメントがコア部分を通過すると、ユーザーが設定したガラス転移温度(Tg)まで瞬時に加熱される。
フィラメント注入と同時に、乾燥剤チャンバーとつながっている入口からは空気が送り込まれる。乾燥剤により除湿された空気も温められ、出口で高温のフィラメントと空気がぶつかり、フィラメントは水分を放出する。その後、高温の空気はコア部分に入り込んで入口方向に水分を排出するという仕組みだ。空気を送り込む12Vエアポンプは連続使用タイプを採用しており、毎分4リットルの空気を送り込める。
IFD-175 APはほぼ全ての市販3Dプリンターに対応するよう設計されており、スプールのサイズに制限がなく利用できることに加え、他の乾燥方法とも併用可能であることがメリットだ。
IFD-175 APのキャンペーン価格は、フィラメント供給用チューブ1mや面ファスナーストラップなどが付属して199ドル(約3万1000円)。出荷は2024年12月の予定だが、出荷先はアメリカのみとなっている。
IFD-175 APは2024年12月1日までクラウドファンディング中で、目標額は3万5000ドル(約547万円)だ。