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金属製よりも9割軽いギアでロボットを軽量化、早稲田大学の研究

早稲田大学理工学術院総合研究所の研究グループは、hide kasuga 1896、三井化学との共同研究により、超高分子量ポリエチレン(UHMW-PE)製の軽量かつ低摩擦なギアを開発した。

同研究グループは軽量、高強度、摺動性に優れる超高分子量ポリエチレン(UHMW-PE)に着目した。UHMW-PEとは平均分子量が1.0×10の6乗以上と高く、通常のポリエチレンや他のエンジニアリングプラスチックよりも優れた摺動特性、耐摩耗性、衝撃強度を示すポリエチレンの一種だ。

同研究ではUHMW-PE製のギアをロボットに搭載することで、駆動時の消費エネルギーを低減することを目指す。今回は、三井化学のUHMW-PEである「リュブマー(LUBMER)」と「ハイゼックスミリオン(HI-ZEX MILLION)」で製作したギアを用いた。

ハイゼックスミリオンは、代表的な粉末状のUHMW-PEである。UHMW-PEは溶融粘度が高く、射出成形や押出成形が困難なため、圧縮成形や切断成形が一般的で、ハイゼックスミリオンについても同様である。一方、リュブマーは、射出成形や押出成形に対応する特殊なUHMW-PEである。今回は、実験でのサンプル条件を統一するために、リュブマーとハイゼックスミリオン、両方ともブロック材から削り出してギアを製作した。

製作したギアをロボット指部に組み込み、関節を動かした際の消費エネルギーを比較したところ、リュブマーのギアのでは従来の金属ギアと比較して約3%のエネルギー消費低減を達成した。ハイゼックスミリオンのギアのエネルギー消費については結果に大きな差がなかった。

リュブマーは、優れた摺動特性や耐磨耗性、自己潤滑性を備える。従来の金属ギアと比較すると、リュブマーのギアは約89%軽量になり、加工がしやすいことに加え、溶融混練によりリサイクルもできる。

リュブマーのギアを採用することで潤滑油を必要としないオイルレス駆動が可能となる。今後はロボットの他の部位にもリュブマーのギアを搭載し、より高負荷かつ高速でのエネルギー消費を低減する効果の検証や、オイルレス駆動の実用性、低騒音効果など付随する効果の検証を進めていく予定だ。

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