UCLAの人型ロボット「ARTEMIS」、ロボカップに向けてサッカーの練習中
2023/04/28 07:30
カリフォルニア大学ロスアンゼルス校(UCLA)サミュエリ工学部のエンジニアは、フルサイズの人型ロボット「ARTEMIS (Advanced Robotic Technology for Enhanced Mobility and Improved Stability)」を完成させた。
同大によると、ARTEMISは2023年7月にフランスのボルドーで開催されるロボカップサッカーに出場する予定だ。ロボカップは、人の操作によって動くのではなく、自分で考えて動く自律移動型ロボットによる競技会だ。日本の研究者らが提唱し、1997年の第1回世界大会から毎年開催されており、「西暦2050年までに、サッカーの世界チャンピオンチームに勝てる、自律移動のヒューマノイドロボットのチームを作る」ことを目指している。
ARTEMISは、UCLAのロボット研究所の研究者が、不整地での二足歩行に着目して開発した汎用ヒューマノイドロボットで、起伏のある不安定な路面での疾走、ジャンプ、歩行が可能だ。体重は85ポンド(約39kg)、身長は4フィート8インチ(約142cm)で、強く押されたり、蹴られたりしても、安定性を保つことができる。
UCLAの研究者によると、実験室におけるARTEMISの歩行速度は秒速2.1mで、世界で最も速いヒューマノイドロボットだとしている。ARTEMISの最も革新的な部分は、アクチュエータが、生物の筋肉のように機能することだ。多くのロボットで使用されている剛性のある位置制御アクチュエータとは対照的に、ARTEMISのそれは弾力性があり、力制御されている。もう一つの特徴は、流体圧力を利用する油圧制御ではなく、電気駆動としたところだ。これにより、油圧アクチュエータを搭載したロボットよりも騒音が少なく、より効率的に動作するという。
ARTEMISは、センサーとアクチュエータで構成されたシステムにより、感知したことに反応し、適応する能力を備えている。両足にはカスタムデザインの力センサーがあり、マシンがバランスを保ちながら移動できるようになっている。また、頭部には位置制御ユニットとカメラがあり、周囲の状況を把握するのに役立っている。
ロボカップへの準備として、UCLAの学内フィールドを使って、ランニングやサッカーのスキルをテストする予定だ。また、不整地や階段の踏破性、転倒/復帰能力、物体の運搬能力なども評価する予定だという。
(fabcross for エンジニアより転載)