水力回生装置で推進力を自給自足する、ヨット向けの電気推進システム
2023/05/28 07:00
フィンランドの船舶用推進システムメーカーであるOceanvoltは2023年4月4日、推進機構と水力発電機構を組み合わせた、ヨット向けの電気推進システム「HighPower ServoProp 25(HPSP 25)」を発表した。
本システムの特徴は、ヨットの推進に必要な電力を自給自足する機構だ。プロペラを構成する各ブレードは、360度回転する「可変ピッチ制御」を採用するため、ヨットを推進させる場合と、水流を受けたプロペラが発電する場合の双方で最適な効率になる。
同社の旧機種である「ServoProp 15」は、世界中のヨットで採用された実績がある。HPSP 25はその発展型で、発電能力を100~200%向上させている。船速6ノットで1kW、8ノットで3kW、10ノットで5kWを発電する。安全性の観点からは、駆動電圧を48Vに留めている。
同推進ユニットにはモーター制御機構、プロペラブレード制御機構、液体冷却システムが組み込まれており、同等の性能をもつディーゼルエンジンによるユニットと比べて小型かつ軽量だ。
また、従来の推進機構は、エンジンを船体後方に搭載するレイアウトの制約から、プロペラを船体の後方に向けて取り付ける必要があった。HPSP 25のプロペラにはこの制約が無いため、前方と後方の何れの方向にも設置できる。
HPSP 25は全長最大約21m、重量25トンまでの船舶に対応し、より大型の船舶でも水力発電機として使用できる。デリバリーの開始予定は2023年の第3四半期で、同製品を搭載する最初のヨットは、2024年に完成する「X-Yachts Xc 47」の予定だ。
(fabcross for エンジニアより転載)