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太陽光だけで飲料水を作り出す携帯型デバイスを開発

Photo courtesy of Omar Yaghi

気候変動の影響により、世界中で干ばつが悪化している。世界人口の約3分の1が水不足の地域に住んでいるという報告もあり、国連は2050年には50億人もの人々が何らかの水問題にさらされると警鐘を鳴らしている。

カリフォルニア大学バークレー校の研究チームは、こうした課題を解決するために、太陽エネルギーのみを利用して、大気中から水分子を捕集し飲料水に変換する携帯型デバイスを開発した。金属有機構造体(Metal-Organic Framework:MOF)をベースとしたデバイスで、北米で最も暑く乾燥した地帯として知られるデスバレー国立公園においても、繰り返し採水できることを確認している。研究成果は、『Nature Water』誌に2023年7月6日付で公開されている。

ハイドロゲルやゼオライトなど空気中の水を回収できる材料は、湿度が低い条件ではエネルギー効率が悪く、一度に高い能力を発揮することができない。一方、MOFは低湿度の条件でも機能することが知られている。

開発したデバイスは、特別に設計されたMOFを利用している。水を生成する効率が高く、集めた水蒸気の85〜90%を飲料水に変換可能だ。MOF1kgあたり1日にデスバレー国立公園で210g、バークレーで285gの水を集めることができた。これはコップ1杯以上の水に相当する。このMOFは補充や改造などを必要とせず、何年にもわたり機能する。しかも、寿命が尽きれば水中で分解、再構築が可能な持続可能な技術だ。

今回開発したデバイスは、従来のMOFを利用したウォーターハーベスターより小型で、ハンドバッグに入るサイズだ。さらに、小型になったにもかかわらずエネルギー効率は向上し、研究チームがこれまでに開発したウォーターハーベスターの3倍以上の性能を有するという。

研究チームは、データサイエンスや機械学習を活用して、家庭用やコミュニティ規模で利用できる効率、サイズ、採水規模のMOFを利用したウォーターハーベスターの開発を進めている。研究を主導するOmar Yaghi教授は、「将来的に、キッチンやエアコンの横に設置して、調理や掃除に使用するきれいな水が供給される日が来るでしょう。すでに取り組んでいる企業もあります」と、述べている。

fabcross for エンジニアより転載)

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