クリスマス特別企画
micro:bitを使ってクリスマスを楽しくするグッズを作ってみよう!
もーいくつねーるとー、くーりーすーまーすー♪
12月の一大イベントと言えば、やはりクリスマスですね。子どもから大人まで、クリスマスと聞くだけでワクワクする人が多いのではないでしょうか。
そこでfabcrossとしても、何かクリスマス的なことがしたい。しかもfabcross的なクリスマス企画にしたい。そこで編集部で話し合った結果、「micro:bitを使ってクリスマス的なものを作ろう」という企画になりました。
micro:bitって何なのよ
micro:bitとは、イギリスの公共放送BBCが作り出した、教育用のマイコンボードです。主に子どもたちがプログラムを学ぶための教材として使われており、安価ながら各種センサーを備え、Scratchに似たブロックエディターを使って簡単にプログラミングできるなどの特徴があります。
ボード上には、加速度センサーや磁力センサー、Bluetooth、25個のLEDライト、ボタンスイッチ2個などが搭載されています。駆動には3Vの直流電源が必要。ボタン電池でも動作させることが可能です。
なぜ、micro:bitを使って工作をするのか。それは、小学校のプログラミング教育必修化が2020年から始まるから。それに伴い、ちまたでは子ども向けのプログラミング教室が人気となっています。そこで、子どもでも簡単にプログラムができるmicro:bitで工作をして、子どもたちに興味を持ってもらおうというのが、今回の企画の主旨です。
レギュレーションは、
1) micro:bitを使うこと
2) 予算はだいたい3000円くらいにすること
この2点です。
fabcross的電子工作スペシャリストを召喚
今回はfabcrossのネットワークを使い、電子工作のスペシャリストをお二人お呼びしました。どんなものを作ってきてくれたのかな? それではお越しください!
……。とってもクリスマスっぽいですね。まずはお二人のプロフィールを。
やまざき★はるきさん(左)
TMCN(Tokyo MotionControl Network)図画工作担当理事のテクノロジスト。ちょっと先の未来のコミュニケーションについて日々プロトタイピングしている。光る工作が得意。
若狭正生(わかさ まさお)さん(右)
フリーランスとしてWeb技術を用いた業務などを行うかたわら、いろんなイベントに出没し無駄なものを作っています。ほかにも日本最大級のWeb系エンジニアコミュニティhtml5j、センサーやデバイスのエンジニアコミュニティTMCNなど多数のコミュニティのメンバーとして、大規模なカンファレンスやハッカソンなどの企画運営などにも携わっています。
それでは、作品を見せていただきましょうか!
光るサンタクロースが幸せを運んでくれる
ではやまざきさんから。
やまざきさんがサンタクロースの格好をしているだけに見えますが……。
「100円ショップで買ったサンタクロースのコスチュームを着ているだけと思ったでしょう? 実は違うんですよ。ちょっと暗くしてください」
そうすると、どうでしょう!
帽子とヒゲが光ります。それだけではありません。首を傾けると色が変わるのです。これはなかなか面白いですね。
いったいどういう仕組みなのでしょうか。
「micro:bitの加速度センサーを利用しています。基本的には、micro:bitにフルカラーLEDテープ(ネオピクセル互換品)をつないで光らせています」
帽子の中にはザルが入っていますね。そこに配線があります。
「ザルに付けておけばかぶったときに帽子が崩れません。ヘルメットのようになるんです」
ちょっとした工夫ですね。
モバイルバッテリーが2本接続されています。1本はmicro:bit用、もう1本はLEDテープ用です。
「配線はワニ口クリップにしています。ちょっと外れやすいのですが、micro:bitの配線を試行錯誤するには便利です。左側(緑)がLEDテープ制御用、右側(白)がグランドとなっています」
micro:bitを傾けると、LEDの色が変わります。今回使ったLEDは60個! なかなか豪勢ですね。
プログラムは、あらかじめ用意されているブロックをドラッグ&ドロップで配置するだけで、機能を実装しているそうです。
それでは、製作風景を。
まずはLEDテープの電源用に100円ショップで購入したUSBケーブルを分解。「本来は通信用の2本と電源用の2本で、計4本の細い線があるのですが、充電専用をうたっているものは電源用の2本だけなので、電源取り用にはこれが便利です」
「USBケーブルに実際に通電して(USB充電器などにつなげて)電圧をテスターで測定し、極性を確認します。+5Vあたりの数値になっていれば正解です(プラスマイナスが逆だと-5Vになる)。測定するときにテスターの端子をショートさせないように気をつけてください。今回購入したものはグレーがプラスで白がマイナスでした」
「micro:bitとLEDテープを接続するケーブルを作ります。LEDテープには電源用2本と制御用1本の線を接続する必要がありますが、先ほど分解した充電ケーブルのプラス線をLEDテープの5Vと書いてある線(だいたい赤)、マイナス線をGNDと書いてある線(だいたい白)と micro:bit側のGNDの端子に接続。LED制御用の線(だいたい緑)は micro:bit側の0~2番のいずれかの端子(今回は0番)に接続できるようにします。micro:bit側の接続線はワニ口クリップにしました」
「LEDテープをサンタ帽子に巻き付けます。100円ショップにて200円で購入。100円高い分ふわふわしてます」
「LEDテープが余ったのでひげにも取り付けました。取り付けには私の工作には必ず登場するグルーガンを使用しました」
「micro:bitとバッテリー、LEDテープ用バッテリーやケーブル類を、100円ショップで売っていた直径16cmのザルにマスキングテープでがっちり留めます。これをサンタ帽の中に収納することで電子工作類が外から見えずとてもスマートに。一見すると、100円ショップで買ってきただけのサンタコスにしか見えません」
プログラムはこちらからダウンロードできます。
LEDテープをレインボーに光らせるだけならもっとシンプルに書くことができるんですが、ぽわぽわっと光らせようとすると長くなり、首(micro:bit)を傾けると色が変化するというアクションを追加した分、さらに長くなっているとのこと。それでも、割とシンプルなプログラムになっているようです。
音楽と鈴の音でクリスマス気分を盛り上げるクリスマスツリー
お次は若狭さんです。クリスマスツリーが出てきました。
「光るクリスマスツリーです」
電気を暗くすると、クリスマスツリーが光っているのが確認できます。
光り方がいろいろ変わったりしていますが、ただ光るだけではありません。なんと、音楽を奏でることができるのです! では音楽を鳴らしている様子をご覧ください。
腕につけたコントローラーを振ると、音楽を奏でられるというわけです。そしてそして、もうひとつ機能が。
コントローラーのボタンを押すと、鈴が鳴ります。シャンシャンシャンシャン。ちょっとクリスマスっぽいですね。
いったいどんな仕組みになっているのか。解説していただきましょう。
まず若狭さんが手首につけているのは、micro:bit。こちらはコントローラーとなっており、ボタン電池で駆動しています。このmicro:bitを振ると加速度センサーが反応して、ツリー側にBluetoothでコマンドを送っています。
「1回振るごとに、音が1つ先に進むというコマンドを送っています。曲は3曲あって、Aボタンを押すとLEDに表示している曲番号が変わります。また、もうひとつのBボタンを押すと鈴が鳴るようになっています」
光と音で楽しませてくれるクリスマスツリーですね。では、クリスマスツリーのほうも見てみましょう。
クリスマスツリーの台座の中身はこのようになっています。結構配線が複雑ですね。こちらにもmicro:bitが入っています。こちらのmicro:bitは受信側ということになります。
micro:bitの下部に拡張コネクターを付けると、細かい端子が使いやすくなります。
下に見えるのがブレッドボード。ここからmicro:bitからの信号で音を出す仕組みに配線がされているようです。
「下に100円ショップで買ってきた鉄琴が入っています。その上に、振動モーターを1音ごとに配置。スマートフォンのバイブレーション機能などにも使われるような、よくある小型のものです。コントローラー側のmicro:bitから信号が送られると、あらかじめ配置された音階のモーターが振動して跳ねまわり、それにより指定の音の鉄琴を叩くことで音が出ます」
コントローラーを振るごとに1音なる仕組み。演奏者の技量も多少必要ですね。
「鈴の部分は、ソレノイドという電磁石で動く機構がついています。micro:bitから信号が送られて電気が流れると、磁力が発生してくっついて鈴をゆらすという仕組みです。」
こちらも演奏者がボタンを押して音を出す仕組み。もはや楽器のようなものですね。
電源は、受信側のmicro:bit用に単三乾電池2本、これと別に振動モーター用などに単三乾電池4本を使用しています。
光る部分には、フルカラーLEDリング(ネオピクセル互換品)を使用。これもやまざきさん同様にmicro:bitからの制御で光のパターンを制御しているようです。
製作風景を見てみましょう。
鉄琴は100円ショップで購入。チューニングが合っていないものが多かったということで、いくつか購入し一番音階が正しそうなものを使いました。
コンパクトにするためにちょっとカット。
木箱に収めて、この後音ごとに仕切りを作り振動モーターを配置。そしてふたをします。
振動モーターが8個あることで、かなり配線が複雑に。間違わないように慎重に配線していきます。
手作りプレゼントで喜ばれること間違いなし!
ということでmicro:bitを使ったクリスマス工作企画、いかがでしたでしょうか。3000円くらいで買えるmicro:bitとアイデア、そして必要な部品を揃えれば、これだけのことができてしまいます。
家族や恋人へのクリスマスプレゼントが決まってないなーという方、手作りのプレゼントなんていかがでしょう。そんじょそこらでは手に入らない、1点もののプレゼントをmicro:bitで作れば、喜ばれること間違いありません、ええ、多分。
では、また来年!(?)。