爪が名刺に、リモコンに! NFCネイルで遊んでみた
NFCは近距離無線通信規格の一つで、触らなくても近づけるだけで情報がやり取りできる技術。Suicaなどで日常生活でもおなじみです。NFCのチップを使って、自分の指を近づけるだけでプロフィールを伝えたり、家電を操作できたりするようにしてみました。
NFCネイル名刺を作ってみる
まずはプロフィールをチップに書き込んで名刺代わりに使う設定をしてみましょう。仕事用にLinkedinのプロフィール、プライベート用にTwitterのプロフィールを伝えるよう、2つのネイルを作ります。使ったのはJAKCOMのSMART NAIL。パッケージを開けると、爪に付けられる小さなNFCチップが1つと、ネイルが6枚入っています。こちらを2つ使いました。
この時点ではなにも情報が入っていないので、NFC機能が付いているスマートフォンかNFCリーダー/ライターを使って書き込みます。私はAndoidスマートフォンに「NFC Reader Writer」というアプリを入れて書き込みました。
メニューから、WRITE NFC TAGS→Write a url,website……を選び、LinkedinのプロフィールページのURLを書き込みます。もう一つにはTwitterのプロフィールページを書き込みました。もちろんTwitterやLINE、Facebook、連絡先、ポートフォリオURLなどを書き込むこともできます。
スマートフォンのNFC書き込み/読み取り部分にチップを載せます。そして「WRITE DATA」ボタンを押せばOK。簡単です。
設定したNFCチップを爪に付けます。ネイルチップにNFCチップを接着し、それを爪にネイル用両面テープで接着しました。ネイルチップは長いので、じゃまにならないくらいの長さに爪切りでカットします。爪が厚くなりますが、外から見てそんなに違和感があるほどではないですね。
このままでは味気ないので、ネイルを白く塗った上に名刺のアイコンやTwitterのアイコンを作って貼ってみました。これで仕事で会った人に間違えてTwitterのIDを伝えてしまうことはありませんね!
いざ名刺交換! 見えない名刺に戸惑いと驚き
実際に使ってみます! といきたいところですが、今は外出自粛中。名刺交換をする機会がないので、夫に偽取引先になってもらいます。
(取引先)「はじめまして、本日はよろしくお願いします」おもむろに名刺を取り出す取引先。
「頂戴いたします。」名刺を渡すふりをしますがそこにはなにもありません。エア名刺状態です。戸惑う取引先。
(私)「スマホをかざしてみてください」とお願いし、スマホのセンサー部分をかざしてもらうと、私のプロフィールページが立ち上がります。
(取引先)「おぉ!? おお~(笑)なるほど~」
取引先からは「便利だね~。それにインパクトあったよ。」との感想をいただけました!
タイマー呼び出しで仕事モードON!
名刺以外にもいろいろと使ってみよう、ということで他のことにも挑戦してみます。NFCチップによく使うアプリを登録しておけば、スマートフォンに近づけるだけで一発で起動できます。私は仕事中にタイマーをよく使うため、ワンタッチでタイマーの呼び出しをできるようにしてみました。
先ほどと同じようにNFCチップの設定をします。「Write application record」を選び、立ち上げたいアプリを選び、書き込みます。
スマートフォンのロックを解除しないと使えないのでワンタッチとまでは行きませんでしたが、普通にアプリを起動するのと違ってバイブレーションのフィードバックが入るので、頭のモードを切り替えやすいような感じがします。スポーツ選手が試合前にジンクスとして決まった動作をするのに似た、仕事前の儀式みたいな感じ。理想的には自動でスタートしてほしいですね。
指リモコンで電気OFF
我が家では赤外線で家電を操作できる「Nature Remo」を使って電気をON/OFFしています。この操作をネイルでできるようにしてみます。iPhoneではオートメーションという機能を使えば簡単に設定できるのですが、Androidでは工夫が必要です。さまざまなサービスを連携するための「IFTTT」というサービスを使って、NFC→IFTTT[Webhook→NatureRemo]→電気OFFという流れになります。
まずはNature Remoの設定です。Remoアプリ上でシーン(複数の操作を一度に実行する機能)を作成し、適当な名前(「寝るぞ」)を付け、照明OFFを関連付けます。
次にIFTTTアプリを設定。新しいアプレット(IFTTTと連携したアプリやサービスに、なにかを実行させるための指示)を作成し、「This」にWebhookを選びます。適当な名前(nail1)を付けます。次の「That」にNature Remoを設定します。「Execute scene」を選び、先ほど設定したシーン(寝るぞ)を選びます。
最後にNFCを読み込んだときにWebhookが動作するように設定します。バックグラウンドで動作させるため、今回は「Trigger」というアプリを使います。まず、IFTTTのWebhookの設定画面に記載されているURLをコピーしておきます。Triggerを開き、アクションの設定から「アプリケーションとショートカット」を選び、URLの欄に先程コピーしたURLを入れ、NFCチップに書き込みます。
壁のスイッチまで行ったりリモコンを探したりする必要がないのはとても便利でした。また、ちょっとのことなのですが、アプリを立ち上げないでスマートフォンをなでるだけの操作ですむのは、スマートフォンで操作するのとは違いました。Remoアプリから操作するより思いのほか楽ですね。
NFCネイルは楽しいぞ!
「指でいろいろ操作できたら能力者みたいでかっこいいかも!」と思ってやってみたNFCネイル。案外実用的でした。名刺のように人に使ってもらうのはちょっと難しいかもしれません。センサー部分にピッタリ当てないと起動しないので、相手がある程度スマートフォンに詳しい人である必要があります。むしろ自分で使う使い方が予想よりもよかったです。スマートフォンのロックを解除しておかないといけないとか、起動しようと思っていないときに起動してしまう弱点はあるものの、リモコンの簡潔さと、音声操作の身一つで操作できる楽さが、一緒になった感じの体験がよかったですね。
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