3Dプリントで夫を踏みつける便所サンダル作って夫婦ゲンカのイライラを解消する
先日、私が楽しみに取っておいたちょっといい缶ビールを夫が飲んでしまったことで軽い夫婦ゲンカに。「夫を懲らしめてやりたい!」という気持ちがモヤモヤと残ります。でも、実際に痛めつけたのでは禍根が残る……。直接ぶつけられない怒りを解消するため、夫を3Dスキャンして3Dプリントし、本人の代わりに踏みつぶせるサンダルを作りました。
3Dプリント「踏みつけるスリッパ」構想
私の大切なビールを勝手に飲んだ夫をどう懲らしめてやろうかを思案中、ぱっと思い浮かんだのは四天王像。邪鬼を踏みつけにし、制圧する姿です。「よし、夫を踏みつけよう!」と決めたものの本人は大き過ぎます。フィギュアを作って、どうせ踏むなら踏みやすい形で、と考えたのが「夫底スリッパ」。
靴底部分が夫の形になったスリッパです。スリッパの底に3Dスキャンした夫のモデルを付けたものを3Dプリンタで出力。その上に布を縫い付け、スリッパの形に仕上げて夫を踏みつける計画です。踏んだ際にムギュッとつぶれることを期待して、柔らかい素材のフィラメントを使用します。
やられたポーズの夫をスキャン
早速データ作りです。夫に、踏みつけられたポーズを取ってもらいiPhoneでスキャンします。無料のスキャンアプリ「WIDER」のフォトグラメトリモードを利用しました。面倒そうな夫に「仕事なので」と言って協力してもらい、ぐるぐると角度を変えながら80枚ほどの写真を撮ります。
ポーズは「四天王像に踏まれた邪鬼のイメージで!」と指定。さまざまな踏みつけられポーズを再現してもらいました。夫は撮り直しを含めて5回ほど屈辱的な踏みつぶされポーズを取ることに。この時点でだいぶ留飲が下がりました。
靴底と夫を合体させる
3Dプリント用のデータを作ります。スキャンした夫二人を配置し、靴底の3Dモデルを上にくっつけます。少々厚底ですが、しっかり私の体重を支えてくれそうです。
先に一人バージョンもミニチュアで試作してみたのですが、厚底になり過ぎました。転んで足をくじきそうだったため、一足二人配置に落ち着きました。
夫付き靴底をプリントする
作ったモデルを印刷する前に、まずは柔らかフィラメントのつぶれ具合を調整します。今回はTPUフィラメントを使用しました。このフィラメントプリント設定で曲がり(つぶれ)具合が大きく変わります。シェルが厚く、密度が高いほど曲がりにくくなります。外側の層の厚さやインフィルの密度を変えて、ちょうど良いつぶれ方をしそうな設定を探ります。
設定が決まったら、いよいよ3Dプリントで靴底を出力します。無事出力できたものの、TPUフィラメントはくっつく力が強くサポート除去が大変でした。手に豆ができたほどです。初めは「夫(の3Dプリント)め、手こずらせやがって」という気持ちだったのですが、手間をかけたためか、だんだんと逆に愛しくなってきました。
プリントした靴底にアッパーを縫い付けて形にします。元々はスリッパにする予定だったのですが、TPUの靴底を見ているうちに「便所サンダルがお似合いだ」とひらめきました。急きょ薄い板状のアッパーを3Dプリントし、針(革細工用の少し太めのもの)と糸で縫い付けます。3Dプリント品を縫うというと違和感があるかもしれませんが、このTPUフィラメントは、1mm程度の厚さであれば縫えてしまいます。
サンダルの形になりました! 本人らしさを出すため、塗装をします。曲がったときに剥がれないよう 、剥がれが起きない「染めQ」を使ってみました。しかし、塗り分けが難しく、積層痕に沿ってにじんでしまったのでポイントのみに。もう一足は剥がれを覚悟で模型用の塗料で塗装し、よりリアルにしてみました。最後に眼鏡をかけて出来上がりです。これからつぶされるというのに、夫はのんきに「自分のフィギュアができたみたいで面白いな~」と言っていました。
サンダル夫を踏みつぶす
実際に履いて歩いてみます。クッションの強いふわっとした履き心地、そして歩くと体重がかかったところがつぶれるムギュッとした感触。そして感じる征服感。
爪先側の夫は歩くたびに「ごめんなさい」と土下座しているようです。夫は自分がつぶされる様子を見て爆笑していました。私のビールを飲んだことを反省してくれたなら良いのですが……。
費用
PolyFlex TPU95フィラメント 7125円
その他塗料