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5kgのボウリング球で巨大トラックボールを作ったら

私は普段マウスの代わりにトラックボールを使っています。現在は諸事情により小さめの玉を親指で操作するタイプを使っていますが、本当は大玉のトラックボールが好きです。玉は大きければ大きいほど良いとまで思っています。

ところで、最近トラックボールを自作している人々を見かけます。自分で作れるのであれば、誰よりも大きいトラックボールを作れるのでは? そこで、ボウリングの球を使って、巨大トラックボールを作って使ってみることにしました。

大(きすぎる)玉トラックボール構想

さて、誰よりも大きなトラックボールを作りましょう。そこで肝心なのは玉を何にするか。自作トラックボールでは市販のトラックボール用の玉やビリヤードの球を使うことが多いようですが、それよりも大きくて、表面がきれいで真球に近いものが必要です。サッカーボールじゃガタガタするし、スイカはゆがんでいる……。そうだ、ボウリング球で作ろう! つるつるキラキラしている様子も似ているし、うまくいきそうな気がします。

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他に必要なものは、玉を置く土台と、玉の移動量を読み取るセンサーやPCと接続する電気系の部品です。土台は3Dプリンターで作り、玉を支持する部分にフリーボールベアリング(キャスターの脚のようなボール型の360度ベアリング)を取り付けます。トラックボールには玉の移動量の読み取りを光学センサ—で行うものとロータリーエンコーダーで行なうものがありますが、巨大トラックボールは光学式で作ることにします。センサーはマウスのセンサーを流用できそうです。

ボウリング球で巨大トラックボールを作る

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ボウリング球を調達します。中古で1800円。ごつい専用ケースに入って届きました、立派です。そして現れるROUND1のロゴから漂うなつかしさ。地元にあったな……。

ケースから球を取り出すと重さは約5kg、ずっしりきます。ポインティングデバイスの重さではないです。元の持ち主もまさかトラックボールに使われるとは思っていないでしょう。

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右から親指操作のトラックボール「MX ERGO」の玉(直径34mm)、大玉トラックボールの玉(直径55mm)、そしてボウリングの球(直径約210mm)。大きさも桁が違います。

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この球を支えるケースを3Dプリンターで出力します。球がデカいと土台もデカい。テーブルの広さは約20cm角なのですが、いっぱいいっぱいです。試作用のプリント設定でも20時間近く、最終モデルは1.5日間プリントしていました。

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ケースができたら100均で調達した有線青色LEDマウスを分解します。それにしてもこのマウスが110円で売れるように作れるというのが驚きです。ポインティング、左右クリック、ホイールと問題なく使えます。基板にはネズミらしき絵までついていました。

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マウスから基板を取り出し、ケース裏側に取り付けます。マウスを上下逆さにつけた形ですね。高さを減らすためにホイールの部品類を取り外しましたが、あとはほぼそのままです。

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ケースを表に返して、潤滑したベアリングをはめこみます。ケチって1番安いものにしたせいか、個体差が大きかったです。ものによっては引っかかりを感じるものもあったため、5つ購入した中から滑りの良い3つを使用しました。

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いよいよボウリング球を乗せます。とにかく大きい! 隣にいわゆる「大玉」のトラックボールを並べてみると、大人と子供どころではなく、人間とクジラくらいの差を感じます。種が違う。しかし巨大さはさておき、PCにつなげ、球を転がすとポインターが動きます。トラックボールだ!

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しかし、このままでは問題があります。そう、マウスの基板をそのまま裏返しているので、左右(上下)が反転しているのです。Windowsの設定で入れ替えられないかと思ったのですが、そういった機能もなく、検索で見つけたフリーソフトはWindows2000で対応が止まっていました。マウスをそのまま使うのはあきらめようかと思ったところ、個人のWebサイトで配布していたソフトが使えました。デバイスごとに設定できるのも便利。先人に感謝です。

クリックは本体につけても使いにくいので左手で操作することにし、キーボードの使っていないキーに割り当てました。

想定の5倍くらい簡単にできてしまった

思いのほか簡単にできました。元々はセンサーを調達して制御することを考えていたので、大変そうだなぁと腰を重くしていました。でも、やってみたらマウスの基板をそのまま流用できたのでかなりお手軽です。レベル変換モジュールなども購入したのですが、今回は出番なし。まさか100均マウスだけでできてしまうとは。

ただ、簡単とはいってもケースは1回ではうまくいかず、何回か作り直しています。センサーと玉の距離がちょうど良くないとスムーズに動かないため、センサーやベアリングの高さ調整が必要です。結局プリント品自体で調節するのではなく、遊びを大きくし、間にスペーサーとなるシートをはさんで調整する形に落ち着きました。巨大トラックボールのケースは、作り直しの際のフィラメントの消費とかかる時間も巨大でした。

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完成した巨大トラックボールの違和感がすごい

完成した巨大トラックボールを使ってみます。それにしてもデカい。机の上の光景にひどい違和感を感じます。そして重いので心なしか机の安定度が増したような気がします。ただ、操作は思ったより重くはありません。もちろん普通のトラックボールに比べれば重いのですが、小指1本でも動きますし、手のひら全体をつけて操作するせいかそこまで重いと感じません。まぁずっと使っていたらムキムキになるかもしれませんが。

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楽しくて無意味に回してしまう魅力があります。何かに似ていると思ったらハンドスピナーですね。ただ、ケチって1番安いベアリングを使ったせいか動かすとガラガラ音がしてちょっとうるさいです。そして、時々ガコッと止まります。見ると指を入れる穴がベアリングの玉に引っかかっています。パテなどで潰せばいいんでしょうが、おもしろいのでそのままにして使ってみます。

実際に使ってシューティングゲームをしてみた

「一応動くとはいえ実際に使えるのか」というのが気になるところでしょう。簡単なシューティングゲームをやってみます。ランダムに現れる的をクリックし、当たれば1点、真ん中なら2点、外れればマイナス1点。制限時間内にいかに高得点をとれるかというゲームです。ボウリング球トラックボール、親指トラックボール、マウスでそれぞれやってみます(大玉トラックボールは故障のためなし)。筆者は反射神経が鈍いので、ポイント自体ではなくデバイスごとの差でボウリング球トラックボールが使えるかを判定します。

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結果は表のとおり。マウスがダントツ1位で、次がボウリング球トラックボール、そしてビリが親指トラックボールでした。結果にコメントがつくのですが、親指トラックボールの時は「頭の良いゴリラ」とまでけなされました。普段1番使っているのですが……。ともあれボウリング球トラックボールは、もっと散々な結果になるかと思いきや親指トラックボールと同程度にポインティングできることが判明しました。

 

ボウリング球トラックボール

親指トラックボール マウス
1回目 38pt/C+ 35pt/C- 51pt/B+
2回目 41pt/B- 42pt/B- 58pt/B+

また「机の上に置くと使いにくいが、椅子の脇に手の高さに合わせて置くと思ったより違和感なく使える」とか「穴に指をひっかけて回すと操作しやすい」などのボウリング球トラックボールハックも発見。さらに便利に使うこともできそうです。大きい玉のトラックボールがあったらおもしろいなとネタで作りましたが、けっこう使いやすいものになる可能性を感じました。というわけで、ボウリング球でトラックボールを作ったら、思ったより簡単にできたし、思ったより安く、思ったより使えました。重すぎますけどね!

今回の材料費
マウス 110円
フリーボールベアリング×3  447円
ボウリング球(中古) 1800円
3Dプリンター用フィラメント 2899円
ゴムシート 53円
合計 5309円

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