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マウスで動かせ! マウスカーソルのラジコン

パソコンを使っていると、常に目で追っているのが「マウスカーソル」。これがなければパソコンを操作できないし、もはや人類の相棒とも言える存在だ。

でも当たり前だけど、マウスカーソルはモニターの中に閉じ込められている。画面端に行くと見えない壁にぶつかってしまい、そこから先へは進めない。

マウスカーソルをモニターの外へ出してやりたい。壁を飛び越えて、もっと自由に動き回って欲しい……! そんな願望を「マウスで動かす、マウスカーソルのラジコン」という形で実現することにした。

マウスで動かす、マウスカーソルのラジコン

見慣れたマウスカーソル(これはWindowsのもの)。このシンプルな形状が、人類の発展に大きく貢献してきた 見慣れたマウスカーソル(これはWindowsのもの)。このシンプルな形状が、人類の発展に大きく貢献してきた

こいつをラジコンにすれば、モニターの外の世界で自由に動き回ることができると思ったのだ。

そして、そのラジコンを動かすコントローラーはやはり「マウス」であって欲しい。マウスを動かすと、マウスカーソルのラジコンが動く。これである。

作ったのは、こちらのコントローラー。マウスの動きを読み取って、Bluetooth経由でラジコンに動きを指示できる 作ったのは、こちらのコントローラー。マウスの動きを読み取って、Bluetooth経由でラジコンに動きを指示できる
それを受信するのは、こちらの大八車みたいなラジコン部。マウスの移動量に応じてモーターを制御し、前後左右、自由に動き回ることができる それを受信するのは、こちらの大八車みたいなラジコン部。マウスの移動量に応じてモーターを制御し、前後左右、自由に動き回ることができる
アクリルを切り出して作ったマウスカーソルも用意する。手に馴染む、とても持ちやすい形だという発見があった アクリルを切り出して作ったマウスカーソルも用意する。手に馴染む、とても持ちやすい形だという発見があった
実際に手に持ってみると、武器にもなることに気付いた。虫歯菌ってこういう槍で攻撃するイメージがある 実際に手に持ってみると、武器にもなることに気付いた。虫歯菌ってこういう槍で攻撃するイメージがある
その武器をラジコン部に乗せれば完成だ その武器をラジコン部に乗せれば完成だ
マウスを動かすと、それに合わせてカーソルのラジコンも動く! マウスを動かすと、それに合わせてカーソルのラジコンも動く!
俯瞰して見れば、これはもう紛れもないマウスカーソルである 俯瞰して見れば、これはもう紛れもないマウスカーソルである

ラジコン化したことで、モニターという小さい枠に捕らわれず、伸び伸びと動き回れるようになったマウスカーソル。ドッグランに放たれた犬のように、思いっきり外の世界を堪能できているはずだ。

その様子を動画にもまとめたので、合わせてご覧いただきたい。

次からはこのラジコンについて、もう少し詳細に紹介していこう。

コントローラー部分(マウス)の構成

ESP32マイコンボードにマウスをつないだだけのシンプル構成 ESP32マイコンボードにマウスをつないだだけのシンプル構成

ラジコンである以上、無線で動きをコントロールしたい。それには「ESP32」という無線機能のあるマイコンボードを使って、Bluetoothで信号を送るのが簡単だ。

入力インターフェースとなるマウスは、よくあるUSB接続だと制御が複雑で、動きの情報を取り出すのが難しい。簡単に作ろうと思うと、「PS/2」という昔よく使われていた方式のマウスを使うのがベストだろう。制御プロトコルが単純なので、動きの情報を楽に取得できる。

家にあるPS/2マウスを探し出してきたら、懐かしのボールマウスだった。ボールを外して埃を掃除していた記憶がよみがえってくる…… 家にあるPS/2マウスを探し出してきたら、懐かしのボールマウスだった。ボールを外して埃を掃除していた記憶がよみがえってくる……
こんな風に、x方向、y方向の移動量を数値で取り出せた。クリックも検知可能だ こんな風に、x方向、y方向の移動量を数値で取り出せた。クリックも検知可能だ

マウスを前に動かすとy方向にプラスの値が出て、後ろに動かすとマイナスの値が出る。同じくマウスを右に動かすとx方向がプラスになり、左に動かすとマイナスになる。つまり、xとyの値を見ると、前後左右どの方向にマウスを動かしたのかが分かるのだ。

あとはこの数値をモーターの回転速度に変換できれば、マウス操作でラジコンを動かすことが可能となる。

ラジコン部分(マウスカーソル)の構成

ラジコンの機構部分は、工作趣味者ご用達のタミヤ製キットを使用 ラジコンの機構部分は、工作趣味者ご用達のタミヤ製キットを使用
ラジコン側にもESP32マイコンボードを搭載。Bluetoothで受信した信号を元に、モータードライバー経由でDCモーターを制御している ラジコン側にもESP32マイコンボードを搭載。Bluetoothで受信した信号を元に、モータードライバー経由でDCモーターを制御している

コントローラー側からBluetoothで送られてきたマウスの移動量を、同じくESP32で受信し、モーターの回転数に応じた電圧値に変換している。そしてモータードライバー(L298N)を経由して、DCモーターを駆動するという構成だ。

それらのパーツを組み合わせ、電源となるモバイルバッテリーを積み込んだ完成形がこちら。大八車みたいになっているのはなぜかというと、 それらのパーツを組み合わせ、電源となるモバイルバッテリーを積み込んだ完成形がこちら。大八車みたいになっているのはなぜかというと、
タイヤを付けると左右に幅があって邪魔なので、後輪の代わりにボールキャスターを使う構成にしたためである タイヤを付けると左右に幅があって邪魔なので、後輪の代わりにボールキャスターを使う構成にしたためである
狭いスペースにギュッと押し込めた、ESP32とモータードライバー。USBから電源を取れるように改造してある 狭いスペースにギュッと押し込めた、ESP32とモータードライバー。USBから電源を取れるように改造してある
動作確認してみる。コントローラー側のマウスを前後に動かすと、それに合わせてタイヤが回転した! 動作確認してみる。コントローラー側のマウスを前後に動かすと、それに合わせてタイヤが回転した!

マウスはこれまで「マウスカーソルを動かす」用途でしか使ったことがないので、操作することで物理的な動作(モーターの回転)が生じる、というのが新鮮で面白い。無意味にタイヤを回転させたくなってくる。

さらにマウスを動かすたび、「シャー、シャー」というモーターの動作音が聞こえる。五感を刺激する楽しさである。

これがあれば遠隔で竹とんぼを高速回転させたり、フードミキサーをマウスで操作したりすることもできるなあ、などと、どうでもいい感じのアイデアも思い付いた。また今度作ってみよう。

さて肝心のカーソルはというと、白いアクリルをカットして作成。このままだと輪郭がないため、 さて肝心のカーソルはというと、白いアクリルをカットして作成。このままだと輪郭がないため、
黒いビニールテープをフチに貼っていく 黒いビニールテープをフチに貼っていく
ラジコン部分をすっぽりと覆う大きさで作成した ラジコン部分をすっぽりと覆う大きさで作成した
最後に、そのカーソルをラジコンの上に固定すれば完成だ 最後に、そのカーソルをラジコンの上に固定すれば完成だ
俯瞰して見ると、思った以上にカーソルである。ついにカーソルが画面を飛び出し、現実世界に降臨したのだ 俯瞰して見ると、思った以上にカーソルである。ついにカーソルが画面を飛び出し、現実世界に降臨したのだ

マウスカーソルで遊ぶ

横から見ればそれが車であることが分かる 横から見ればそれが車であることが分かる

このラジコン、見ているだけでは伝わりづらいのが残念だが、実際に操作するとめちゃくちゃ楽しい。マウスカーソルに限らず、ラジコンのコントローラーをマウスにするのは意外とアリなんじゃないだろうか。

もちろん前後だけでなく、左右の移動も自由自在。たのし~(マウスカーソルはこんな回転方向の動きをしない! という野暮なツッコミは胸にしまっておこう) もちろん前後だけでなく、左右の移動も自由自在。たのし~(マウスカーソルはこんな回転方向の動きをしない! という野暮なツッコミは胸にしまっておこう)

ただ一つ難点がある。パソコンのマウスと同じで、マウスを動かすスペースには限界があるのだ。ずっと前進させたいと思ったら、マウスを前に動かす→マウスを浮かして手前に戻す→マウスを前に動かす……という動作が必要である。

この問題は、マウスの代わりにトラックボールを使えば解決しそう。トラックボールをコントローラーにしたラジコン、それもアリかも。

クリックもできるぞ

ここまでで、マウスを使ってカーソルを移動させる動作は完成した。でもマウスにはもう一つ機能がある。それは「クリック」である。

ラジコン側でもクリックを実現するため、車の前方に黒いポッチを付けた ラジコン側でもクリックを実現するため、車の前方に黒いポッチを付けた
それはサーボモーターに取り付けられていて、 それはサーボモーターに取り付けられていて、
マウスをクリックすると、サーボモーターが90°動いて、ボタンを押すような動き方をするのだ マウスをクリックすると、サーボモーターが90°動いて、ボタンを押すような動き方をするのだ

この黒いポッチは何かというと、導電性のスポンジである。「タッチペンの先端」と言えば分かりやすいだろう。実際、100円ショップで買ってきたタッチペンを分解して作ったものなので、紛れもなくタッチペンの先端部分だ。

先端の黒い部分だけを取り外して、 先端の黒い部分だけを取り外して、
電流が流れるように導線を付けて、 電流が流れるように導線を付けて、
ラジコン本体のグランドに接続すれば完成 ラジコン本体のグランドに接続すれば完成

この黒いポッチ部分が、タッチペンと同じ働きをすることになる。つまり、タッチパネルを操作できるのだ。

マウスカーソルのラジコンでタッチパネルを操作(クリック)する様子 マウスカーソルのラジコンでタッチパネルを操作(クリック)する様子

作るのが結構大変だったわりには、「この機能いる!? 」とあとで冷静になって思ったりもした。でもこの一手間が、作品のクオリティに直結するのである(私はそう信じている)。

Windowsみたいにしてみる

最後に、こういう床を作ってみた。

THE・Windows。アイコンのチョイスは完全に私の趣味である THE・Windows。アイコンのチョイスは完全に私の趣味である

床にアイコンを置けば、マウスカーソルにとってのホームグラウンドの出来上がり。

パソコンの画面を飛び出して、伸び伸びとアイコンをクリックして動き回るマウスカーソルの様子を眺められた パソコンの画面を飛び出して、伸び伸びとアイコンをクリックして動き回るマウスカーソルの様子を眺められた

いつも見慣れたマウスカーソル。もはや当たり前すぎて何とも思わない存在であったが、こうして立体化してみると愛着が沸いてきた。自分のマウス操作に従って健気に動いてくれる様子を見ていると、ペットのようなかわいらしさがあることにも気付かされた。

これからも人類の良き相棒として、末永く付き合っていきたいと改めて思ったのであった。今後ともよろしく、マウスカーソル!

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