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在宅勤務のスキマ時間に3Dプリンターで作ったQOLを上げる地味なもの5選

世界的に家にこもるようになってほぼ1年がたち、自宅にいながらZoomやClubhouseで人とつながり、自宅にいながらUber Eatsや出前館で食事を頼めるなど、とにかく自宅にいる時間がとても増えました。

さらに、家で踊ったり、(任天堂の)リングコンを使用したフィットネスなどお家時間を充実させるようなものもはやったり、家の需要(?)が以前に増して高まっているように思います。

そんな中で家にいる時間が増えたからこそ気付いた不便なところは、以前にも増して気になるようにもなってきました。そしてこの1年間を振り返ると、そんな家の“地味に気になるところ”を3Dプリンターで解決してきたことに気付きました。今回はこの、3Dプリンターで地味に解決してきたライフハックを5つご紹介したいと思います。

レベル1:ちょうどいいフックを作る

ちょうどいいところにちょうどいいフックって、世の中にはほとんどないなあとよく思うのですが、我が家にも2つ、3Dプリンターで作ったフックがありました。フックを作るのは本当に簡単で、フックの付けたい場所の寸法を定規やメジャーで測り、そのサイズに合うような形のフックを3D CADでモデリングしていきます。

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まずはドライヤーを収納扉に引っ掛けるためのフックです。市販のS字フックなどを使ってしまうと扉が閉まらなくなるので、形を扉の形にぴったりと沿うような形のフックにすることで、扉をちゃんと閉めることができるフックを作ることができました。

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もうひとつ、キッチンにはゴミを捨てるレジ袋を掛けるためのフックを作りました。こちらも扉に引っ掛けるフックを作りたかったのですが、ゴミを捨てるには高さが低いため、シンクに直接引っ掛けるフックを設計しました。

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3Dプリンターを購入したはいいけど何を作っていいか分からない人は、ほんと身近なところのフックを作るといいと思います。モデリングは断面書いて押し出すだけで簡単ですし、とっても便利だしほんとに毎日使っています。ただのフックだけど……。

レベル2:デスク裏にPCを収納できるようにする

在宅ワークをするにあたってデスクと椅子が欲しくなったのですが、自宅が狭いのでイトーキのユビックというデスクを買いました。ただ、ラップトップ (MacBook)を置き無線のキーボードとマウスを使うには少し狭かったので、外部ディスプレイをモニターアームで固定しつつMacBookはデスクの下に収納しクラムシェル化*することにしました。

クラムシェル:MacBookを閉じたままで使うこと

ユビックはパイプの脚に天板が付いている構造になっているので、このパイプにはまる3Dプリントパーツを作って、天板のすぐ下にMDFの棚板を固定します。3Dプリントパーツはフックと同じく、パイプの寸法とMDFの板厚を採寸しその形に合わせてモデリングしました。

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3Dプリントパーツは同じ形のものを4つ作って、板を挟んで天板の裏のパイプにはめ込んで完成です。普段使用しているラップトップ2台が少しゆとりある状態で収まる隙間を作ることができたので2台ともクラムシェルで使用することができます。

小さいデスクでも無線キーボードと無線マウスのみですっきり!! 小さいデスクでも無線キーボードと無線マウスのみですっきり!!

作業をするときには、キーボードもマウスもBluetoothで接続先を切り替えられるのでシームレスに2台のラップトップを使い分けることができるようになりました。このように、何かを特定の場所に固定したり設置したりするためのものの製作は、3Dプリンターならではという感じがしますね。

レベル3:在宅で活躍する香皿

自宅ですごす時間が増え、家に眠っていたお香を焚く機会が増えました。そんな中で一目ぼれして買ったお香立てがあるのですが、お香を横向きに立てるタイプのもので、いままで使っていた香皿(お香の灰を受ける皿)では灰がこぼれてしまうようになってしまいました。

そこで、このお気に入りのお香立てを使うため横長の香皿を作ることにしました。お香の灰は火がついているわけでもないので自宅にあるプラスチックで香皿を作ってもいいのではないかということで、10分くらいでモデリングをします。

炭谷三郎商店のお香立てとモデリングした香皿 炭谷三郎商店のお香立てとモデリングした香皿

シンプルながらRhinoceros7というCADソフトの新機能SubDを使って少し有機的な曲線を意識したデザインになっています。Fusion 360でもスカルプト機能を使えば似たような形が作れると思います。簡単な形が3D CADで作れるようになった方は、少しこのような曲面を使ったモデリングに挑戦してみるのも良いかもしれません。

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形状に起伏を設けたことで、3Dプリンターの積層跡が、意図せず枯山水の模様のようになったので嬉しい。 形状に起伏を設けたことで、3Dプリンターの積層跡が、意図せず枯山水の模様のようになったので嬉しい。

20cm弱のお香までに対応できるように香皿のサイズを調整したので、少し長いお香にも十分対応できる香皿ができました。灰はきれいに香皿の上に落ち、大満足の仕上がりです。余裕があれば、ヤスリで磨いて仕上げるとお掃除も楽になると思いますが、今回は積層の跡もきれいなのでそのままにしておきます。

レベル4|防犯と換気を両立するドアガードストッパー

自宅の換気をしたいとき、部屋の窓だけではなく玄関を少し開けると空気の通り道が出来て効率よく換気ができるというのはよく聞く話ですが、防犯上は不安が残ります。私の自宅はオートロックのマンションなのですが、最近は宅配業者に加えデリバリーの業者などもオートロック内に出入りするので、ドアを少し開けた換気はなかなかやりづらくなりました。

それでもお部屋を換気したい……。自宅の玄関ドアにはドアガードが付いているので、ドアガードでロックをしたままで玄関の扉を少し開けておく道具ができないかと思った私は、3Dプリンターで設計をすることにしました。

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最初はドアガードが動かないようにドアフレームに固定するために、単純な形をモデリングして付けてみました。これでも十分に機能は満たすのですが、実際にはこのドアガードを固定するにはドアフレームの左側とU字の頂点を固定できれば十分で、左側は浮いて何も役に立っていない状態でした。

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なので、改良版は3点固定のデザインにした上で、Fusion 360のジェネレーティブ デザイン機能を使い、構造的にも最適化された形状を目指しモデリングをしていきます。計算結果ではかなり肉抜きされて細いパーツになっています。

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想像よりも細く貧弱な見た目になってしまったので若干の不安を感じたのですが、実際に使ってみるとドアの重みをしっかり支えて隙間を開けたまま固定することができました。ジェネレーティブ デザイン機能を使用するにはFusion 360の有償アカウントが必要で、さらには演算やデータ書き出しにもクラウドクレジットという費用が発生するのですが、機械学習で力学的に演算された形状を作ることができるのでとても面白い機能です。次のアイテムもこのジェネレーティブ デザインを活用した3Dプリント作品を作っていきます。

レベル5:20キロの重さにも耐えるベッドマウントデスク

最後はベッドのヘッドボードに固定するデスクを、3Dプリントしたパーツで作った例を紹介します。こちらはヘッドボードにデスクの天板を固定するためのパーツ兼デスクの脚となる3Dプリントパーツを先程と同じくFusion 360のジェネレーティブ デザイン機能を使ってモデリングしていきます。天板へネジ留めする箇所と、ヘッドボードをクランプする箇所をモデリングし、あとは荷重条件を入れて演算します。片脚で10kgの荷重に耐えられるように設定し、合計で20kgまでものを載せることができる計算です。

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3Dプリントパーツは少し大きいので出力には片脚で8時間35分かかりました。また、途中でフィラメントが切れてしまったので、片脚だけ別の色のフィラメントで補ったためツートーンになっています。このパーツはジェネレーティブ デザインらしい複雑な形状ですので、3Dプリンターの強みが活きますね。

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出力が終わったら、サポート材を取って天板にネジ留めし、最後にヘッドボードにクランプで固定すれば完成です。あまり深く考えず真下にかかる荷重しか設定していないので、横からの力には少し揺れやすい仕上がりになってしまいましたが、この点を除けば、簡易的に作ったにしてはしっかりしたデスクになりました。

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現在はこのデスクは撤去してしまったのですが、使用していた時は1度目の緊急事態宣言中ということもあり、この上で主にデスクワークをし、ラップトップ2台、ディスプレイ(このデスクにアームで固定)、小型のサーキュレーターなど割と重いものを載せていました。見た目は骨のようなこの3Dプリントパーツでも、ジェネレーティブ デザインで演算した結果の形ですので、ちゃんと荷重設定を満たしていたことが分かります。

最後に

難易度順に簡単に真似できそうなものから、少しのCADスキル(や有償のソフトウェアで使用できる機能)を使ったものまで、3Dプリントを活用したホームハックを紹介しました。自宅で過ごす時間が多くなってしまったこの世の中で、3Dプリンターを使って少しでも快適に生活できるよう、皆さんも3Dプリンターを買って身の回りから役に立つものを作ってみてはいかがでしょうか。

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