組み合わせ自由自在。スティック型電動モビリティを作って遊ぼう!
日常生活で私たちは多くの乗り物を利用しますが、現代ではどれもサイズが大きく、そのまま室内に持ち込めるような手軽さは感じられません。しかし、移動手段の多様化に伴い、未来ではもっと小さく、より身近に感じられるモビリティが必要になってくると思います。例えば、モビリティを傘のように持ち運べたら、きっと便利だし未来的に感じます。
そこで、今回はとてもスリムでスマートな、スティック型の電動モビリティを作ってみます。
構成を考えよう
一般的な電動モビリティの構成はとてもシンプルです。最低限の構成だと、モーターとモータードライバー、バッテリーを準備するだけで動きます。最近では電動スケボーキット等も販売されていますね。
まずはモーターを決めます。スリムなサイズ感を目指し、可能な限り小型にしたいものです。そこで、今回はインホイールモーターを使用します。国内では購入先が限られてしまうので、中国のAliExpressで購入することにしました。検索すると、なんとタイヤ径70mm、とても小さなインホイールモーターを発見。これに決定です。
次にモータードライバーです。これはモーターの出力を考えながら選定する必要があります。また、モータードライバーのインターフェースは、UARTやCAN、I2C等、機種によってさまざまです。これによりモーターの制御状態を確認できたり、回転数等を指示できる仕組みとなっています。
製品をいくつか検討した結果、ZS-X11Dという2000円強で買える、安価なモータードライバーに決めました。これは国内でもAmazon等で買えるようですね。この機種は安いだけあって状態監視できませんが、PWMやアナログ入力で回転数の制御ができます。今回のモビリティでは、感圧センサーのアナログ値に応じて、速度をコントロールできるようにしてみます。
最後にバッテリーはモーターの電圧に合わせて24V、6セルのリチウムイオンポリマー電池を使用することに決めました。容量は30分~1時間稼働を目途に見積もり、1800mAhにします。もちろん充電器も購入しておきましょう。
これらを基に3Dモデルを作成してみました。では、早速組み立てていきましょう。
準備するもの
- SUSグリーンフレーム
- SW(電源用ロッカスイッチ)
- 配線
- 感圧センサー
- 電圧計
- 電源基板
- モータードライバー
- インホイールモーター
- アルミプレート
- 3Dプリント部品
- ボルト類
今回、SUSグリーンフレームというものを使いますが、これがとても便利なのです。軽量なアルミフレームと、シンプルな締結によって、さまざまなユニットを簡単に試作できます。
https://fa.sus.co.jp/products/gf/
組み立てよう
まずはインホイールモーターをプレートにボルトで締結します。プレートには配線通し穴を設け、良い感じに通してあげましょう。
続いてモータードライバーもプレートに取り付けます。その際、放熱シートを忘れずにつけましょう。電源起動時、とても熱くなりますから。その後、空いているコネクターへ配線を接続します。
電圧計を3Dプリント部品に取り付けます。電圧計からはPHコネクターを出します。
電圧計付きの部品を、プレートにボルトで締結します。
次に電源基板を取り付けます。ちなみに、これは本作品の為に作ったオリジナル基板です。ヒューズや電源分配機能を備えたシンプルなものになります。取り付け後、こちらにも配線を接続します。
グリーンフレームを取り付けます。この際、電源基板に接続されている感圧センサーの配線をうまく取り回し、外へ取り出します。
続いてハンドルの組み立てです。感圧センサーを貼り付け、上からゴムクッションで覆います。
感圧センサーに配線をはんだ付けし、3Dプリント部品をグリーンフレームへ押し込みます。
ハンドルをフレームに取り付けます。感圧センサーの配線をはんだ付けし、きれいに繋げます。
これで組み立て完了です。組立も工程が少なく、意外と簡単だったのではないでしょうか。
電源を入れよう
バッテリーを取り付けます。黄色いXT-60コネクターを基板に接続しましょう。
電源SWを入れると、電圧計に値が表示されます。24V前後が表示されるはずです。この時、18V以下だとバッテリーが危険な状態(壊れてるかもしれない)で、0Vだと接続ミスの恐れがあります。さらに危険な場合は火花が飛ぶときもありますが、今回はうまくいって良かったです(笑)。
※原則、最初に電源を入れる時は、安定化電源や低容量のACアダプター(5Aくらい)を使用した方が安全です。また、必ず事前に導通確認を行いましょう。
ハンドルの感圧センサー部分を押し込むとタイヤが回転します。
走行してみよう
完成したので、早速走行してみたいと思います。とはいうものの、これは足場がない電動一輪車なので、そのままの状態で乗車することはできません。スケボーや車椅子等、車輪を備えたものと組み合わせて使用する必要があります。ここでは、インラインスケートを用いて走行してみます。
電動キックボード化しよう
インラインスケートって難しいですよね。持ってない方も多いでしょう。そこで、スティック型モビリティを電動キックボード化して、もっと乗りやすくしたいと思います。実はここがグリーンフレームの利点で、フレームを組み合わせることで、とても簡単にプロトタイピングすることができます。車輪と足場、ハンドルを取り付けます。
それでは走行してみましょう。少々勢いが必要です。
電動3輪カート化しよう
電動キックボードも、そこそこの速度とバランス感覚が必要で、やや難しさが残りました。せっかくだからもっと簡単に乗りこなしたいので、今度は電動3輪カート化してみます。車輪の数を増やし、サドルも取り付けてみました。
まずは立った状態で走行してみます。なかなか安定して楽しいです。
続いて、サドルに座って走行します。これはとてもラク。安心して移動できますね。
作ったら楽しく使おう。遊ぼう
このスティック型モビリティは単体でも十分楽しめますし、フレームを組み合わせることで2輪、3輪と様々なタイプのモビリティへ進化させることができます。とても活用の幅が広い作品です。創意工夫を凝らしながら、あなただけのオリジナル移動手段を作り上げましょう。
しかしながら、当然ですがこのまま公道走行はできません。然るべき申請をすれば良いのですが、今回の作品は、そもそも悪路走行できるような構成ではありませんから、なかなか厳しいと思います。(主催者・管理者の許可がある前提で)イベント会場や、ちょっとした公共広場を走り回ったりするくらいなら、可能だと思います。とても楽しめます。また、室内移動ができるスリムなサイズ感なので、会議室を走り回っても楽しいかも…。自己責任でお願いします。
最近は世の中、電動モビリティがたくさん出てきましたが、このような小型のスティック型モビリティがあれば、スマホのように私たちの生活により身近になっていくのかもしれませんね。
モビリティの図面はこちらから。
Githubアドレス:https://github.com/CH1H160/StickMobility