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なぜFabCafeにMakerは集まるのかーーグローカル・コミュニティとしてのファブ

FabCafeをなんと紹介すればいいだろうか。3Dプリンターやレーザーカッターが使えるカフェと言うのは少し乱暴な説明に思える。ファブ施設と呼ぶにもしっくり来ないが、日本のMakersムーブメントを語る上では避けて通れない存在であることは確かだ。

ワークショップやトークイベントなど、クリエイティブに関わるイベントが毎週開催される場所でもあり、訪れるユーザーもベテランのMakerからデジタル・ファブリケーションに初めて触れる人まで幅広い。カフェとしても国内コンテストで優勝経験を持つなど、本格的な内容で訪れる人を楽しませる。

現在は国内では飛騨、京都、また台湾やフランス、スペイン、メキシコなど海外にも拠点を広げていて、もはや既に一つの店舗を指す言葉ではなくなっている。

オープンからFabCafeはいかにして多くのクリエイターが集まるスペースになっていったのか。代表の川井敏昌さんに話を伺った。

オープンから3年ぐらいは暗中模索の期間だった

FabCafeは運営母体であるロフトワークが入居するビルの1階に、2012年にオープンした。当時、ファブ施設や工作機械を使った加工サービスを提供する店舗は都内でも数える程度しかなかった。

立ち上げ当初から変わらないのは工房やカフェを前面に出すのではなく、クリエイターが集うコミュニティになりたいというコンセプトだった。しかし、現在のようなスタイルに至るまでには長い時間を要したと川井さんは当時を振り返る。

「当初は運営メンバーの中でも意見がまとまらない中であらゆることを試していました。僕ら自身が場をプロトタイピングしているような状態で、やってみて駄目だったら変えるというサイクルを3年ぐらい続けていました」

FabCafe COO(最高執行責任者)の川井敏昌さん。(撮影:加藤甫) FabCafe COO(最高執行責任者)の川井敏昌さん。(撮影:加藤甫)

その結果、カフェとしての機能や機材、周囲にいるクリエイターなどFabCafeが持つリソースを活かしながら、運営メンバー自身がやりたいことを反映させたプロジェクトや企画を立ち上げるモデルに着地したという。

また、「仮説を立てて、やってみて、変えるべきところは変える」というサイクルが浸透し、新しいことに積極的に取り組む文化が運営メンバーの中で確立した。

FabCafeの店内。渋谷駅から道玄坂を登りきったところにある。2015年に増床し、スペースが倍の広さになった。(撮影:越智岳人) FabCafeの店内。渋谷駅から道玄坂を登りきったところにある。2015年に増床し、スペースが倍の広さになった。(撮影:越智岳人)

例えばカフェであれば季節のメニューや集客するための割引など、実践できることには限りがある。しかし、店内にある機材を活用すれば、一般的なカフェには無い取り組みができる。また、デジタル・ファブリケーションを活用するクリエイターに向けても、単純な機械利用だけでなく、彼らの作品を紹介するミートアップイベントを開催するなど、人が集まりやすいカフェとしての機能を活用した企画を提供できる。

こうしたFabCafeならではの仕掛けが渋谷に訪れる一般消費者や感度の高いクリエイターやエンジニアたちに認知され、さまざまなイベントに顔を出す利用者を中心にコミュニティが形成されていったという。

コミュニティに集まる多彩な人材は単なる常連客ではなく、FabCafeを一緒に運営するパートナーとしても活躍する。イベント運営にも関わるほか、イベントのスポンサーにそれぞれの勤務先を紹介するなど、店と客の関係を超えた繫がりがある。

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