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工芸作家 木谷洋インタビュー

工芸とアートの交差点に立つ若き工芸作家、木谷洋が見出した自分にしかできない使命

A PERFECTCIRCLE(写真提供:木谷洋)

世の中にない新しいものを作るときのプレッシャーは、どの世界でもつきものだろう。世の中に受け入れられるのかという不安と、内側にある確信めいたものが常に綱引きをしながら、時間をかけ、時には生命を削るようにして没頭して生まれたもので世に価値を問う。

金沢を拠点に活動する若き工芸作家、木谷洋(きたに ひろし)氏は重なり合うことのなかった工芸とアートの両面からアプローチする作家だ。膨大な時間をかけて、ほぼ手作業で制作される作品は農耕具や工具、文具がモチーフで、見る者に道具とは何か、技術と芸術の合間にある価値を訴える。

手作業のメリットはロスがないこと、だから何十時間でも磨く

作業時に使用する板状の作業台。バイスで固定して、ひたすら磨き、削る。 作業時に使用する板状の作業台。バイスで固定して、ひたすら磨き、削る。

制作過程における技術や技法が評価される工芸に対し、アート、とりわけ現代美術は他者にはないコンセプトが主に評価される。異なる評価軸と文化を持つ2つの世界で活躍するアーティストは非常にまれである。しかし近年、工芸を現代美術の枠組みで捉える流れが生まれ、工芸×アートという文脈で世界を目指すアーティストが出始めている。

木谷氏もそういった流れをくむ作家の一人だ。工芸を突き詰めていった結果、現在の作風に至ったのであり、アートからのアプローチという意識は無かったという。

木谷洋氏。1988年奈良県生まれ。金沢美術工芸大学大学院卒。主な展覧会に、「Bridge Art and Craft 工芸ブリッジ」(EYE OF GYRE/東京 2017年)、「道具と芸術」(白鷺美術/金沢 2016年)「before homo habilis」(SKLO/金沢 2015年)などがある。 木谷洋氏。1988年奈良県生まれ。金沢美術工芸大学大学院卒。主な展覧会に、「Bridge Art and Craft 工芸ブリッジ」(EYE OF GYRE/東京 2017年)、「道具と芸術」(白鷺美術/金沢 2016年)「before homo habilis」(SKLO/金沢 2015年)などがある。

しかし、木谷氏の作品を目の前にすると、工業製品のような精巧さと極限まで磨き上げた真ちゅうの光沢、美しさに目を奪われる。美しさを突き詰めた道具としての工芸品、それが木谷氏の作風だ。これらの作品は図面無しで制作され、加工作業の大半が手作業だというのだから驚かされる。

稲わらを加工する際に使用していたわらすぐりを題材にした作品「ワラスグリ」(2016年) 稲わらを加工する際に使用していたわらすぐりを題材にした作品「ワラスグリ」(2016年)

「図面を引いたり鋳造したりしているのかと尋ねられることが多いのですが、図面を引くことはあまりなくて、直接手に触れる取っ手の部分から作り始めます。板状の素材から糸のこで切り出し、ヤスリで削って形を整え、パーツを組みあわせてという作業をずっとやっています。水平が出るまで2週間ぐらい毎日ひたすら磨くこともあります。手作業のいいところは同じものができないということ以上に、失敗がないという点にあります。できたもの同士を、どのように組み合わせるかポイントを探りながら加工していくので、基本的にはロスがないと思います」

作品のモチーフは存在する道具であるため、図面無しでも大まかなアウトラインをイメージして、どこを崩すか/精度を上げるかを考えながら、ひたすら金属に向き合う。

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