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手足が動かせないゲーマー向けに、口や声で操作できるゲームコントローラ「QuadStick」

病気やけがなどで手足が動かせいないゲーマーのために、口や声で操作できるゲームコントローラ「QuadStick」が、クラウドファンディングサイトKickstarterで注目を集めている。2月4日の資金調達開始後すぐに目標の1万ドル(約102万円)を達成し、記事執筆時点では調達期限まで24日を残して1万7000ドル(約174万円)以上を集めている。

QuadStickのゲームコントローラ QuadStickのゲームコントローラ

QuadStickはいわゆるジョイスティックだけでなく、キーボードやマウス、フラッシュドライブとしての機能を併せ持っており、PCやMac、PlayStation 3/4、Xbox 360/Oneは、これらの機能すべてにアクセスできる。Android、Xbox 360/One、Androidなど多くのゲームプラットフォームで使用可能だ。

QuadStick開発のきっかけは、開発者Fred Davidson氏の母親がALSになったことだ。話すことに影響が出たときコンピュータ化された音声システムを、動きが困難になるとコンピュータを使用し続けるのを助けるデバイスを利用した。それ以来、デジタル制御システムの設計者として、彼女のような人の問題を緩和するのに役立つものを設計したいと考えていたという。

Davidson氏は、Ken Yankelevitz氏と彼が開発した「Quad Control Joystick」についての新聞記事を読み、現代において社会的な側面をもつゲームを、身体の不自由なゲーマーがハイレベルにプレイできるようにするツールを開発することは、彼らをより完全にその世界に参加させることになると考えた。

Yankelevitz氏は1980年代以来、四肢麻痺患者のためのジョイスティックを作り続けていたが、70代になり健康上の理由から新しいジョイスティックの受注を停止していた。Davidson氏はYankelevitz氏に連絡して、QuadStickの設計を開始し、ユーザーからのフィードバックを受けながら一般に提供する準備を進めてきたという。 

QuadStickのデフォルトの機能 QuadStickのデフォルトの機能

QuadStickにはジョイスティック、息を吸ったり吹いたりするのに反応するセンサ、唇の位置センサ、プッシュスイッチがあり、ARMプロセッサに接続されている。それがセンサ入力を、USBやBluetooth信号へと変換する。そしてPS3やPCホストに、ゲームパッド、マウス、キーボード、フラッシュドライブとして表示され、動作する。

センサとホストに送られる信号の間の論理マッピングや接続は、ユーザーが設定可能で、ゲーム内のさまざまな状況に合わせて、予め設定したプロファイルと変えることができる。カスタム設定は内部のフラッシュドライブに保存できる。さらにこうした設定は、ユーザーや介護者の間でオンラインでシェアし、ウェブブラウザ経由で他人の作った新たな設定をすぐにダウンロードして利用できる。

音声によるコマンド操作は、商用の音声認識プログラムやフリーソフトウェアパッケージ使うことで可能になる。ユーザーは、丸、三角といったコントロールの名前で操作したり、連続的なコマンドを登録してフレーズとして操作したりできる。さらに音声コマンドは、QuadStickの操作自体の管理もでき、新しい設定ファイルをロードしたり、アクティブモードを変更したりできる。

QuadStickプロジェクトの支援は5ドル(約500円)から行えるが、399ドル(約4万1000円)出資するとQuadStickセットが入手できる(日本への送料は別途50ドル)。これまでの出資1万7000ドルの大部分は、QuadStickそのものを入手するものではなく、このプロジェクトの純粋な支援として集まっている。最高額5000ドル(約51万円)のパトロンレベル出資枠1人もすでに埋まっている。 

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