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高級機械時計に用いられる「トゥールビヨン」を3Dプリンタで再現

カリフォルニアに住む時計職人ニコラス・マヌサス氏は、スイス生まれの有名な時計職人アブラアム=ルイ・ブレゲが18世紀末に開発した、機械式時計の誤差を抑える機構「トゥールビヨン」を、3Dプリンタを用いて現代に再現した。

機械式時計では部品にかかる重力の影響で、針の位置によって進みが異なる。トゥールビヨンは、こうした誤差を平均化するための機構で、部品点数が多く精度が求められるため、長らく最高級機械式時計にだけ搭載されてきた。

もともとコンピュータ技術者だったマヌサス氏は、思い切って機械式時計製造学校で教育を受け、その後これまで築いてきたキャリアを捨て、新しく1000%スケールのトゥールビヨン「Tourbillon 1000%」を作製するための研究を始めた。そしてマヌサス氏がTourbillon 1000%を完成させるために、結局3年の月日を要した。

Tourbillon 1000%に使われている部品は、ギヤの回転軸を支える金属製ボールベアリングを除けばすべてPLA製で、最小積層ピッチ200μmのRepRapデルタ型3Dプリンタによって出力されている。

マヌサス氏はこれを時計としてではなく、教育的な目的のために作製した。「この装置により人々は、通常では繊細すぎて手にとって見ることの出来ないトゥールビヨン機構をはっきりと、一つ一つの部品がどのように働いているかを理解することができるだろう」と述べている。その精巧な動きは動画で確認することができる。 

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